カタパルトスープレックス

動くな、死ね、甦れ!のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)
3.9
ヴィターリー・カネフスキー監督の53歳にして初の長編作品。物凄いエネルギーに満ち溢れた作品。

舞台は第二次世界大戦後のシベリア極東の町スーチャン。日本人捕虜の強制労働所と炭鉱の町。泥にまみれた場末の町。みんなここから逃げ出したい。でも、逃げ出せない。主人公は悪戯盛りの小学生ワレルカ(パーヴェル・ナザーロフ)。エネルギーを持て余して後先考えずに悪戯ばかり。学校を追い出され、警察にも追われる身に。そんなワレルカをいつも見守るのはガリーヤ(ディナーラ・ドルカーロワ)。この世界の終わりのような町で、二人の子供に未来はあるのか?と言う話です。

とにかく場末感がすごい。世界の終わりってこんな感じなんじゃないか。北斗の拳みたいなバイオレントな世界ではなく、とても惨めな世界。ワレルカはそんな惨めな世界で大人から締め付けられる。それでも止まらず突き抜けていく。そのせいでひどい目にも合うのだけれど、締め付けている大人たちの方が先に参ってしまう。

この映画は自身もストリートチルドレンだったヴィターリー・カネフスキー監督の自叙伝みたいなものらしく、主人公ワレルカを演じたパーヴェル・ナザーロフもストリートチルドレンだったそうです。

最後はかなりぶっ飛んでいて、ボクにもよく理解できませんでした。まあ、狂うしかないわな、こんな世界。