OASIS

渇きのOASISのレビュー・感想・評価

渇き(2009年製作の映画)
3.5
人体実験によってヴァンパイアになってしまった神父が、幼馴染だった男と再会し、その妻と禁断の恋に落ちるという話。

ソン・ガンホ演じる神父は、神への祈りだけでは人の命は救えない事に絶望し、自らを罰する為にアフリカで猛威を振るうウィルスのワクチン開発実験に参加し、そこで輸血された血液によって身体が変化して吸血鬼となってしまうが、血を飲みたい欲求と人を殺めてはいけないという信仰の間で悩む事になる。
このヴァンパイアになってしまうまでの時間経過が驚く程速くて、最低限の説明だけで済ましてしまう省略の仕方が大胆でした。

交通事故で運ばれてきた女性の血を舐めたり、意識不明患者の点滴チューブから血をゴクゴク飲んだり、エゲツない描写だがどこかシュールな画で笑わせ、人間離れした身体能力で病院の壁を駆け上がるシーンやベッドの上から覗き込むような動きのあるカメラワークも面白いです。
ワイヤーで吊るされてる感じが丸出しなのもなんだか笑えてきます。

キム・オクビン演じる幼馴染の妻とのベッドシーンの数々が粘着質な音だらけでなんともエロいですが、血に飢えた者と現実から解放されたい者、渇いた者同士が喉の潤いを癒そうとする様子がこれでもかと表現されてるし、脇汗を舐める所なんて堪りません。
そして、妻が神父と共にヴァンパイアとして生きる事を決めた瞬間に、ハツラツとしてそれまで以上に欲望に解放的になりエロスが増している様に思える演技は本当に素晴らしかった。

ただ、神父が選んだ決断は信仰者としては最も罪深いものなんじゃないのか?と思えて、結末にはモヤモヤしました。
夫を殺した直後からその幻影に悩まされ妻の前に現れるびしょ濡れなシン・ハギュンや目だけで演技する義母等かなり笑える場面も多くて、シリアスなのかなんなのか分からない感じですが、パク・チャヌク監督らしく血みどろで美しい映画でした。
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