こたつむり

ザ・レイドのこたつむりのレビュー・感想・評価

ザ・レイド(2011年製作の映画)
4.0
★ 暴力!暴力!暴力!

『映画秘宝』2012年度ベスト第1位。
そんな評価の高さに惹かれ、鑑賞してみましたが…。

「なにこれ、怖いぃぃぃ」
と口から漏れるほどに張り詰めた緊張感と、圧倒的な暴力。アクション映画を極めるとホラー映画にも足を突っ込む…という作品でした。

物語としてはシンプル。
マフィアの巣窟に警官隊が突入する…ただそれだけです。唯一、背景描写があるのは主人公のみ。しかし、それも薄味ですし、ほとんどの登場人物に至っては名前すら出てきません。ただ戦って死んでいく…儚い運命なのです。

だから、画面を支配するのは死、死、死。
撃って、殴って、蹴って、絞めて、刺して。
マフィアも警官も「殺られる前に殺れ」と命を燃やし尽くしていました。

ちなみに本作はインドネシアの映画。
気軽に行ける場所ではありませんが、ちょっと旅行を躊躇うくらいに“怖い”です。何しろ、警察という肩書が生命を守りませんからね。先進国では考えられない状況です。

また、舞台となる雑居ビルも薄気味悪く。
臭いが漂ってきそうなほどに薄汚れた壁や床。ベニヤ板などで仕切られて“迷路化”した構造。エレベーターも直結していないので、場所は判っても簡単にボスの場所まで行けません。

だから、物語に“探索”の要素が加わります。
扉を開けたら敵。音を立てたら敵。後ろを振り向いたら敵。まさしく四面楚歌。四方八方から攻撃される恐怖に晒されるのです。

そして、何よりも圧倒的なのが敵方のNo.2。「銃はつまんないんだよ」と言わんばかりに肉弾戦に拘る姿は、完全に相手を見下しており、その態度に見合うほどに強いのです。彼との戦いは言葉どおりに“真剣勝負”。手に汗握りますよ。

まあ、そんなわけで。
不純物がないアクション映画。
この世界観に呑み込まれてしまえば、圧倒的な恐怖を感じるとともに、血が滾るのは間違いなし。“闘う映画”を探しているならばオススメです。
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