回想シーンでご飯3杯いける

東京家族の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

東京家族(2012年製作の映画)
4.0
「家族はつらいよ」を観たら、その原型でもある「東京家族」を観たくなって、久々に再鑑賞。コンパクトなホームコメディとしてまとめた「家族はつらいよ」よりも映画らしい見所や脚本の豊かさがあって、僕はやはりこっちの方が好きだ。

本作は小津安二郎監督作品「東京物語」のリメイクで、昭和の名優、笠智衆の役所を引き継いだ橋爪功の熱演も見所だけど、初見時と同様、次男役の妻夫木聡と、その恋人を演じる蒼井優に強い魅力を感じる。特に次男については「東京物語」では戦死した設定になっているのに対し、本作では現代的な若者(もちろん生きている)として登場しているのが大きな違いで、ここに戦後ではない現代の日本を描こうとする本作の強いメッセージを感じる。

懐古趣味だけではない、現代に生きる僕達に向けた家族ドラマ。再鑑賞という事で、結末を知った上で聞く会話の数々も心に沁みた。そして屋上のシーンはやはり素晴らしい。今後も繰り返し観る事になりそうな作品だ。