来夢

パフューム ある人殺しの物語の来夢のレビュー・感想・評価

3.6
所見の時はリアリティが無さ過ぎて微妙だなーって思ったけれど、それをわかった上で観たら、ダークファンタジーとして観られて楽しめたかな。
ただ、途中から目的よりもただの材料集め(殺人)にスポットが行ってしまい、主人公の行動理念もどんな実験をしてるのかもよくわからなくなってしまう(ただ殺してにおい採集してるだけに見える)のが残念。道徳心の欠如しているサイコパスなキャラクターとしては行動理念が読めないのは問題ないんだけれど、描いた上で理解できないのと描かれていないのでは違うよね。
そんでその状態から終盤にはいって急に主人公の心情を読み解け的な流れになるのは不親切だと思うし、すっぽり抜けてしまった途中経過のせいで、彼が求めて作り上げた成果物に対するリアリティがなくなってしまい、サイエンス要素のないSF映画みたいに説得力まで失ってしまう。
自分の体臭がないってのも凄く重要な設定なのにさらっと流しすぎだし、細かいところで嘘でしょって言いたくなる現実離れした表現が多々ある。
映像センスもよいし、空気感も凄く好きなんだけれど、やはりファンタジーであってもリアリティって大切なんだな。レビュー書いてたら結局所見の時と同じ意見に落ち着いてしまった。
決して出来の悪い映画じゃないし、なんなら結構好きかもしれないくらいだけれど、この手の映画としては突っ込みどころが多かったなってところです。
来夢

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