まっどまっくすこーじ

クラウド アトラスのまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

クラウド アトラス(2012年製作の映画)
3.8
クラウドアトラス六重奏というキーワードを持つエピソードを含め、六つの時代も場所も異なる話を往き来するアンサンブルムービー。

豪華なキャストなのですが、一人が各エピソードで違う役をこなしていて、多い人だとすべてのエピソードに出ています。

監督はウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァが三つずつのエピソードを担当。
エピソードで一番古い19世紀半ばの話と未来、かなり未来の話はウォシャウスキー姉弟で、近代、少し昔、現代の話がティクヴァ監督です。

各エピソードは何かしらつながっているという設定ではあるものの、それ自体は意味をあまりなさず(1つだけ違いますが)、各エピソードは独自のテーマで展開します。
でも、各エピソードの主人公には体のどこかに箒星の痣があるというのは、やはり一貫した命題を持っているということだと思います。
もしかしたら輪廻とか永遠性などかも知れませんが、観る人によって捉え方は違うかも知れません。

私が六つのエピソードで共有していると感じられたのは、他者への想い、でした。
形は様々であっても、他者と関わり、生きていくために必要な想いというものを観る人に考えて欲しい、というのが今作のメッセージなのではないかな、と思ったのですがしかし、正直言ってよく分かりません。

尺も三時間近くあるし、場面展開が時制に関係なく飛びまくるし、シリアスとコメディが緊張と弛緩を半ば強制するような(個人の感想です)、観る人を選ぶ監督のエゴイズムについていくのが大変でした。
但し、キャストの各個性と演技力並びに力の入れ具合は非常に良いなぁと思いました。

とにかく、私なぞが初見のみで今作をレビューするなど烏滸がましいことかも知れませんが、何しろ難解な映画です。
その分、数度観て、解釈できるようになったらすごく感銘を受けることができるのかも知れません。
なので、評価は現時点での素直な思いを点数にしました。

クラウドアトラスというタイトルは原作者が、一柳慧(オノヨーコの最初の夫)のピアノ曲の英題からとったそうですが、エピソードには韓国は舞台の1つになっているけど日本は出てこないので、原作者はとくに日本とは関係ないのかな。
でも、今作のテーマとか過去から未来まで様々な場所でのエピソードがあることなど、なんとなく手塚治虫先生の火の鳥に似ている感じがするのですが…

とにかく、観る人が色んな受け止め方をして良いのが映画の魅力の1つですから、たまに長編の作品でも観てみるか!という時にお勧めできる映画です。
但し、体力要ると思いますよ~!


レビュー100本目