シャチ状球体

次の朝は他人のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

次の朝は他人(2011年製作の映画)
4.6
過去はいつまでも記憶のままにしておきたいもの。現在になった瞬間に思い出は変わってしまうから。
"初めて"は一回きりではなく、 呼吸の度に生まれていく偶然の一部なのである。花が枯れては咲くように。

この映画には音楽もなく、特に何かが起こるわけでもない。しかし、登場人物の発する言葉の端々に不変への希求を巧く隠し、そんなものは存在しないけれど過去の一つ一つが自分というものの構成要素になっていくということを徐々に受け入れていく男を映すことで、観客にも前向きなメッセージを、モノクロ映像ながらも色鮮やかに伝えてくれる作品だ。
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