しゃにむ

ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館のしゃにむのレビュー・感想・評価

2.2
「ポッターめ、せっかく我が輩が教えたリアクション芸を活かしきれなかったようですな」(魔法学校教員 男性)

学業の放棄と生温い怠惰な生活を愛するたダーティー・ハリーはたび重なるカンニング行為がたたってホモワーツを退学処分になり、少しだけ聞き齧った闇の魔術を活かし、曰く付き物件で観客を笑わせる所謂リアクション芸人(兼お祓い屋)に転身したが、出てくる幽霊がどいつもこいつもリアクション取るにはなまっちょろく張り合いがないので、ハリーは恩師の教えと芸人魂を忘れ、死んだような顔つきで淡々と除霊活動を行うため、観る者は約90分間のどっちつかずの除霊ショーを目の当たりにし、こうなれば自分で楽しむ努力をしようと思い思いにリアクション芸を磨くことで有意義な時間を過ごすのだった…

ハリーの呪縛から逃れようと役作りを模索し苦しみ悩み抜いた結果ラドクリフ君から魂が抜けてしまったような印象でした。子役時代から芸能界にいる彼には芸能界の闇の部分の影響が大きかったのでしょうか…(深読み)

瞳が虚ろで悲しくなります。ハリーを演じ始めた頃は子どもらしい喜怒哀楽の表情豊かな俳優で、成長してからは多少落ち着いて物静かな雰囲気になりましたが、彼の感情はまぁ読み取れるくらいに見えていました。ですが今作は感情の起伏を見つけるのが非常に難しかったです。ずっと同じテンション。ずっと憂い顔をキープしたままです。さすがにビビらざるを得ない場面でも表情の変化が最小限に留まりなんだか凄く冷静で不自然です。ホラー映画(なのかな…)をやるからには多少オーバーにやってくれた方が観客も同調してビビると思うのですよ。リアクションがあまりに薄いとかえってホラーですけど(´ι_` )

あらすじ↓
貧乏なやもめ子持ちのラドクリフ君が偉い人の命令でいかにも曰く付きな曰く付き物件の整理に出張に行き、彼が来た途端に待ち構えていたように周囲の村で子ども達が不審な死を遂げる奇っ怪な事件が多発します。子ども達の死に曰く付きの屋敷の元住人が何かしら関わっているのではないかと疑い、被害を被る村人のことを無視して、屋敷に取り憑いた亡霊を追い払うことになります。

19世紀(うろ覚え)のイギリスという設定はかなり自分好みでした。霧で一寸先も見えないぼんやりした雰囲気や奥ゆかしい西洋風の屋敷、家具、調度品、車、服装…イギリスですね〜〜雰囲気は素晴らしく好きです。スウィニートッドみたいな感じで( ´艸`)

土着のオカルトらしさも好みでした。都会人を歓迎しない田舎者はお決まり。海の真っ只中の離れ小島に立つ古い洋館…江戸川少年や金田一少年がよだれを垂らすようなシチュエーション…干潮時しか行き来出来ません(なんとホラー向けご都合主義的な立地条件の建物なんだろう)うわ〜〜いかにも出そうですね!(なかなか出ないけど)

振り切らない感じが残念でした。屋敷の幽霊はなかなか出てきません。ヤッホー出たぞォォォーー!!と言えるのは後半10分くらいでもの足りません。それまでの小出し小出しのフラストレーションのやり場に困りました。ふわっと白いものが浮かんでくるソフトな感じなのでもっと露骨にガツンと来てほしかったです(ビビリのくせに)

劇中ラドクリフ君は屋敷を無表情で徘徊するシーンばかりでやや冗長でした。杖を持っていたら見ものでしたけど…(゚∀゚)
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