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EVA エヴァのemilyのレビュー・感想・評価

EVA エヴァ(2011年製作の映画)
2.9
2041年冬、田舎にかえって来たロボット科学者のアレックスは少年型アンドロイドの開発を始める。かつての恋人は、いまは兄の妻となり、その一人娘エヴァに出会った瞬間ひとめぼれし、彼女をモデルにアンドロイドを作ろうとするが・・・その秘密が明らかになり・・

白い雪景色にまるで赤ずきんちゃんみたいに浮かぶ赤いコートのエヴァ。はかない透明感をまとっていて、子供にしては大人びたしゃべり口調である。景色越しの横顔のカットが非常に美しく、その透明感に見惚れてしまう。その美しさは小悪魔的で、発する言葉の独創性に大人も答えに困ってしまうのだ。その美しさに吸い込まれるように、張り詰められた伏線を見失いがちになる。それぐらい少女の存在感と、雪景色の美しさが素晴らしいのです。

その透明感は悲しみの果てに存在する、母の唯一の希望であり、愛の証でもあるのですが、皮肉にもそれを自らの手で壊す事になってしまう。アンドロイドの物語でありながら、家族の物語へと繋がっていく。家族を再生するために、苦悩するのではなく、悲しみの先の幸せを一緒に探していくわけではなく、残酷な方法をチョイスする。その悲しみは終わらせるしかないのだ。しかしそのはかなさがどこまでも美しく、それもまた愛の形なのだと読む。
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