emily

ファニーゲームのemilyのレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
3.6
バカンスを過ごすために湖のほとりにある別荘にやってきた親子。そこに一人の青年がやってくる。卵をほしいと言いつつ徐々にテリトリーを犯していく。青年は二人になり、やがて最悪の状況に。

しょっぱなからイライラが止まらない。徐々に距離を詰めてきてことごとくイライラさせられる感じ、すでに「何か」が始まってることを予感させる序盤から、一気に立場が逆転する。

二人の仕掛けるゲームは残酷で胸が苦しくなるものだか、映像には痛いシーンははぼ映らない。悲鳴や音で観客に想像させ、肝心の殺害シーンもあっけなく終わる。残虐な殺人ではなく、じわりじわりと精神を崩壊していく感じ。

とはいえ、肝心なところで観客に話しかけたり、映画であることを常に植え付けてくるのも面白い。まるでそのゲームに私たちも参加させられているような、感情をコントロールしてくるのだ。

シニカルで、残酷、それでいて心底怖がることも許されない。映画の枠から出て感情移入することも許してはもらえない。映画そのものを逆手に取った手法で、映画そのものを否定するかのような切り口。

観客をただの観客とは捉えておらず、わたしたちがいて映画が完成していることを叩きつけてくる。見ている観客は何を求めている?もっと血が欲しいのか?暴力が欲しいのか?それが良い映画なのか?

これはただの遊びではない。だけど映画である。見事に観客の心を弄び、爽快なまでの胸糞悪いラストで幕を閉じる。
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