このレビューはネタバレを含みます
ピアノの話なので加点しています。原作未読ですが、私はふたりが入れ替わっていない説で見ましたので、とても面白かったです。音楽をやめないでくれと頼んでいた遥とやめて自由になると言っていたルシアとでは、おそらく家庭内で親の態度に温度差があったのだと思います。こういう設定は以前に見た3月のライオンでもありました。つまりもらわれ子の方が大切に育てられてしまうというケースです。よく大奥みたいなドラマでは生みの親ということで、自分の子供を世継ぎにと奔走する話が多いですが、実際の一般家庭では3月のライオンやこの映画みたいなことが多いのかもしれません。
それで遥が身体障碍者でありながらピアノを完璧に演奏しようとして、その重圧で切れてしまったという風に私は思いました。ルシアの立場になりたかったのだと思います。ですから、最後の方でルシアが家族全員に囲まれてピアノを弾いているイメージシーンは、かなり皮肉なものに見えてしまいました。また生前の母親との回想場面もそうです。しかし一般的には二人は入れ替わっているとして感想を書いていらっしゃる方が多いので、私もこれは私独自の見方であるとしておきます。
演出方法など往年の大林監督の青春映画風で見やすかったですし、手術の話などは手塚先生のブラックジャック的でありました。そう言えば手塚さんのブラックジャックを大林監督は撮っていたなあと思い出しました。二時間11分。