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ゼロ・ダーク・サーティのpanpieのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
4.5
「女神の見えざる手」2回目観てきました!
人間ドックだったから朝早くて疲れたのでまっすぐ帰ろうと思っていましたが「女神の見えざる手」が今週いっぱいと知りこの日しか観られないのでミススローンの如く眠気と戦いながらコーヒーをガブ飲みして観てきました。笑
勝つ事と引き換えに自分が懲役刑を食らう覚悟を決めた聴問会での最後の発言ではやはり2回目だったから意味がわかって涙が不意に込み上げてきて泣きました。
ネトフリやDVDレンタルではいつも2回目3回目の鑑賞は当たり前だけどお金を払って2回目って今月は異常に観ていますが感動の度合いが違う様に思います。
家計における〝映画費〟が今月は突出しています!
やばいです!(ToT)
内緒です。笑

そして帰ってからどうしても「ゼロダークサーティ」が観たくなってとうとう最後まで観ました!\( ˆoˆ )/
凄く緊張して観ましたが面白かった!
前に観た時途中でリタイアしたのは何故?
観始めたら怖いけど面白くて止められず一気見でした。
これ2012年の作品だからたった5年前の作品だった事に驚愕!


2001年9月11日アメリカ同時多発テロはCS音楽チャンネルでミスチルの「POPSAURUS」を見ている時に突然ニュースで映像が飛び込んで来た。
今でもあの時の事は忘れない。
まだ幼稚園にもあがっていない娘がお気に入りだったライブで青いシャツを着て歌っていた桜井くんを〝青いおじさん〟と呼んで二人でよく見ていた。(他のお気に入りはクイーンのMVでした。(^^;;)
あの世界貿易センタービルに飛行機が突っ込む映像。
今でこそ放送しなくなったがあの頃連日昼夜を問わず放送し続けていた。
色々な角度からの映像が放送されてその度に浴びるように見た。
その後二度とTVで放送されたのを見たことはない。
思い返すと結構なトラウマが残った。
娘は小さかったから起きている間は見たのだと思うが今聞いてみても記憶にはないらしい。
本当によかった。
〝トラウマ〟という言葉がまだあまり聞きなれなかった頃メディアは繰り返し放送した。
いや、2000年以降だから使われていたのか。
映画の様だった。
どこか作り物の様でもあるこの前代未聞の恐ろしい事態を受け止められなかった。
何故こんな事を思いつく?
実際に実行に移すなんて。
そしてアルカイダの恐ろしさを唐突に知った。

今作では2011年のビンラディン殺害に至るまでの経緯を描いておりまるでドキュメンタリーのよう。
CIAの口を割らせる水攻めの様子は他の映画で見る拷問の様子よりも緩く感じるが殺さず長期に渡って何度も行う拷問シーンは逆にリアル。
そこへジェシカ・チャステイン演じるマヤが派遣される。
その拷問に最初は目を背けていたマヤ。
実際普通の人間には食事も排泄もさせず拷問しない間はずっと手を縛られていて横になって休む事も許されず連日の水攻めは堪えられないと思う。
私なら一瞬で吐いてしまうだろう。
耐えられない。
イギリスで起きたバスや地下鉄の爆破やパキスタンのマリオットホテルの爆破など当時ニュースをにぎわせていた事実そのものを描いていた。
あの頃本当に戦争が起きるのではと思った。
他国を非難したり同盟を結んだり今も何処かで紛争がありいつ世界規模の戦争が起きても不思議ではない世の中で私達は生きている。
でも何処かでまだ大丈夫、戦争は起きないだろうとたかを括っている。

今作でもジェシカ・チャステインは素晴らしい演技を見せている。
彼女の私が観た出演作ではやっぱりダントツで「女神の見えざる手」が一番なのだが今作も徐々にビンラディンを追い詰めていく鬼気迫るCIA局員を熱演していた。
人好きのする様な美人ではなく相変わらず痩せて疲れていてでも彼女の目が好きだ。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で兄役だったカイル・チャンドラーが今作ではCIA支局長の役で出ているのだが躍起になって現場の局員が探しても上が認めないから動けない。
ジェシカ・チャステイン演じるマヤはとうとうキレて「ビンラディン発見を怠った支局長として不名誉な実績が残ることとなる」と食ってかかる。
ここを演じる為にジェシカが出ていたのではと思う程顔を真っ赤にして息もつかせぬ演技は圧巻で「女神の見えざる手」を彷彿とさせる。
相手をマシンガントークで言い負かす迫力に圧倒された。
最初は拷問で目を逸らしていたマヤが変わって行く様子も丁寧に描かれていた。

その後アブ・アフメドが携帯を購入し携帯を使えば居場所が近ければ特定できる最早違法な手段で(流石CIA!)人でごった返している通りを車で追いかけるシーンは観ていてかなり焦らされる。
まさに草の根を分けて探す地道な努力があってこその結果に喜ぶもののなかなかビンラディンと特定できず一日また一日と過ぎていく。
現地人をスパイとして雇っているのかその情報を売り買いしているのか分からないがアブ・アフメドが潜伏する屋敷が特定されその城壁に守られた完璧な屋敷におそらくビンラディンが息を殺して潜んでいると思われるが推測の域を出ない。
局員が限りなく黒に近いと思ってもその確率が60%では上はゴーサインは出さずジレンマに陥るが発見から100日が過ぎて突然下ったゴーサインで動く特殊部隊のシーンは見事だった。
暗視ゴーグルの映像も緊迫感があってさながら自分もシールズの一員の様に息を殺して観た。
顔を確認する為なのかヘッドショットは行わず心臓へ必ず一発撃っているところもリアル。


「女神の見えざる手」でもジェシカといい勝負だったマーク・ストロングが今作では髪があってあんまり素敵じゃない。笑
すぐに分からなかった。(^^;;

特殊部隊にジョエル・エドガートンやクリス・プラットが出ていた。
CIA長官役でジェームズ・ガンドルフィーニが放送禁止用語を連発する切れ者の役で出ていた。
CIAの叩き上げと言った感じだ。
CIAの仲間でアブ・アフメドの携帯が鳴ったら感知して鳴る携帯を仕込んだ局員役で観たことある黒人のハロルド・ペリノーという俳優が出ていたがどうも「マトリックス」に出ていたらしい。
「マトリックス」3作ともDVDを持っているが待っているからこそなかなか再鑑賞できずに今に至るので近々見直さなくては。

なかなか事実に基づいて作られた今作を自分が途中放棄した事に最後まで観た今納得がいかなかった。
監督のキャスリン・ビグローの作品はアカデミー賞を取った「ハートロッカー」も最初で途中放棄した事を思い出した。(^^;;
結局どれも観ていない。(-_-;)
おまけに過去にジェームズ・キャメロン夫人だったなんて知らなかった!
観てない、知らないのオンパレードでお恥ずかしい。(/ _ ; )


日常生活に突然飛び込んで来たビンラディン殺害のニュースは当時騒然としたけれどもアルカイダは壊滅する事もなくその後ISが台頭した。
トカゲの尻尾切りだ。
他国の紛争を止める為という大義名分で紛争に調停役として参加するアメリカはもう世界のリーダー的な存在ではなくなっているのかもしれない。
憲法9条を振りかざして来た日本も憲法改正をされたらアメリカの同盟国として紛争に参加しなければならない日が本当に近い将来きっと来ると思う。
アメリカとの関係もそうだが北朝鮮の脅威もあり日本がこれから進む道を思うと心が重くなる。
将来自分の子供やその子供達が笑顔で暮らす日をただ願っているのだがそれは叶わぬ夢なのか。
観終わった後そんな事を考えてしまった。
観るべき映画だった。
今頃だったが観て良かった。
でも観終わった今心はかなり重い。
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