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ボヘミアン・ラプソディのpanpieのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
5.0
大変遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
今年もマイペースで頑張っていこうと思います。
どうぞよろしくお願いします。



公開間もない昨年11月24日に1回目を観に行った。
そして27年前の11月24日にフレディ・マーキュリーが亡くなった事を知った。
今日はフレディの命日だったのか!
何という偶然。
命日だからなのか劇場でポストカードを貰った。
なかなか観に行かれなかったのも事実だけど観に行くのを引き延ばしていたのも事実で今作に対峙する勇気がなかなか出なかった。
クイーンは心が弱った時や昔酔った勢いでカラオケの〆で歌った長年の愛すべきバンド。
でもアルバム一枚を通して聴いた事はない。
アルバム聞きをしなかったのは友人Mへのコンプレックスがあったからかも知れない。

私がビートルズにはまっていた小学校高学年に彼女はクイーンのLPを意気揚々と見せつけて私を驚愕させた。
そのアルバムは見開きが自転車に乗った一糸纏わぬ裸の女達で溢れかえっていた。
うろ覚えなのだが恐らく「Bicycle Race」のMVからの写真の様なのでそれが収録されている「JAZZ」だったと思う。
「何これ!」
洋楽はビートルズしか聴いたことがない無知な私にはかなりショックでありそれを同じ年の友人Mが嬉々として私に語り聞かせるのを羨ましい様な妬ましい様な入り混じった複雑な気持ちだった事を今も覚えている。
当時流行っていた日本の歌謡曲を振り付けしながら踊って歌っている同級生に意味わからないけど優越感みたいなものを勝手に感じていた私はMとの再会でそんな気持ちは打ち砕かれた。
彼女とは父親同士が同じ公務員で母親同士が仲良しだったので学校は違っていたが休みの度に会っていた。
しばらくぶりで会ったら彼女のお気に入りがパット・マッグリンからクイーンやチープトリックなど本物の洋楽へ移行していてその後にハマったJAPANもMの影響。
クイーンも彼女の影響は大きいと思うがベスト盤止まり。
こんななんちゃってファンの私でも映画を観ても大丈夫なんだろうか。
不安がよぎった。

ドキドキしながら観に行ったが劇場はほぼ満席で老若男女入り乱れ不思議な感じだった。
冒頭20世紀フォックスのテーマがブライアンのギターだった!
ああ、懐かしい!痺れる〜!
ブライアンのギターの音がいつもの歌う様に響き渡る。
そこからもう掴まれてしまった。




↓ここからネタバレあります。↓









フレディの生い立ちは全く知らなかった。
私が初めて「Bohemian Rhapsody 」を聴いた時にはまだ携帯はなかったしあってもピッチだったしグーグルはあったのかもしれないが知らなかった。
ネット検索出来る現代とは違って月刊誌の音楽雑誌でしかバンドを知る機会は訪れず今知りたい!には応えてくれなかった。
でもそれがアーティストとファンの距離を微妙に取ってくれてその記事が例えゴシップ記事であっても見つけたら一喜一憂したものだ。
フレディはインド人でも東洋人でもなくエキゾチックな顔立ちだったけど今作で私は初めてフレディの生まれ故郷がザンジバル共和国だったと知った。
映画でバカにした口調で〝パキ〟という台詞が出てきて当時逃れてきたイギリスでも差別にあっていたのが分かった。

フレディ役を演じたラミ・マレックを最初観た時あまりにも似てなくて映画に入り込めるか心配になったのだがその心配は全くの稀有に終わった。
次第にフレディに見えてくるから不思議だった。
特に後半の髪を短くして髭を生やしサングラスをかけた辺りから段々とそっくりに見え始め終いにはメンバー全員がそっくりだと思った。
ブライアン・メイ役のグウィリム・リーは初めからそっくりと思っていたが観ているうちにジョン・ディーコン役のジョゼフ・マゼロなんか表情がそっくりで顔つきが似ているせいか研究し尽くしてそうなのか見ていてニヤニヤが止まらなかった。
友人から「ジュラシックパーク」の弟だと聞いて全く面影もなく驚いた。
ロジャー・テーラーはさほど似てなかったけど可愛かったから許す!笑

ライブエイドは圧巻だった。
ラミ・マレック、あのツーステップみたいな動きと腕を高く突き上げるタイミングまでフレディにしか見えなくて冒頭の20世紀FOXのタイトル曲から既に私は泣きが入っていたのだけどライブエイドのシーンはティッシュで目頭を押さえつつうろ覚えの歌詞で一緒に歌った。
今迄必ず早送りして聴かなかった「Radio GA GA」は今では大のお気に入りになってしまった。
あれはロジャーの作曲だったなんて知らなかった。
ロジャー、ロジャー言ってますが私はブライアンのファンでした。(^^;;
あの歌うようなギターソロに痺れる!
ギタリストはノリノリで弾くものと思っていたけどブライアンの直立不動な様子は許すよ。
恥ずかしながら娘が小さい頃ドライヤーを使わなくて楽だからとブライアンの髪型を真似して肩ぐらいの長さでパーマをかけた事がある。笑(あんな風にはならなかったけど今思えばあの髪型は無理って言うか恥ずかしい。笑笑)
しかしメンバーが皆博学とは知らなかった!
違う約束された将来があったのにクイーンで食べていこうと決めてくれて本当にありがとうと言いたい。(;_;)

私は「Bohemian Rhapsody」は勿論「Good Old-Fashioned Lover Boy」「Fat Bottomed Girls」「Bicycle Race」「You’re My Best Friend」辺りが大好きで昔酔った勢いでカラオケで〆にクイーンは歌ったものだけど今作を観てからは若い頃のハードロック調の曲にハマっている。
「Stone Cold Crazy」「Keep Yourself Alive」は仕事で疲れた身体でもノリノリになって家事をこなせる母に優しい曲だ。笑
最近は「39」というクイーンとは思えないアコギの曲にハマっている。
「Long Away」というメロディアスな曲は歌ってみると彼等の素晴らしいハモリが上手すぎて何処を歌って良いのかメロディが分からなくなる程美しい曲だ。
まだまだ知らない曲が沢山あって奥深い。
しばらく聴いてなかったけど映画を観てから聴いてみると初めてクイーンを聴いた時の驚きと喜びを思い出してあらためて今頃また噛み締めている。
本国では音楽評論家が相手にもしなかった彼等を最初に熱狂的に支持したのが日本の女性ファンだと知った。
そう言えばJAPANもそうだったなぁ。
David Bowieも然り。
映画でももっとそこを取り上げて欲しかったのだけどパンフでMUSIC LIFEの元編集長東郷かおる子さんが語っていた。
MUSIC LIFEではお世話になりました。
日本の女性ファンはルックスは勿論だが実力も兼ね備えていないと支持しないそうで彼女の分析には納得。
パンフには当時警備をしていた伊丹久夫さんと通訳の小林のり子さんのインタビューがフレディだけじゃなくメンバーの人となりが分かってなかなか面白かった。
Bowie といえばフレディと「Under Pressure 」を歌っていたけどあの時私はBowie寄りで聴いていた。
今あらためて聴いてみるとあの曲は二人の見事な歌唱力をお互いに高め合ってそれぞれの個性を表現した素晴らしい曲だった事が分かる。

前例にないロックとオペラを調和させた「Bohemian Rhapsody 」に纏わる秘話やブライアンとロジャーとの出会い、初めてのステージでマイクを引っ張ってなかなかマイクスタンドから抜けなくて中途半端ないつものフレディのマイクになった経緯等知らない事が盛り沢山だった。
特にメアリー・オースティンの存在は全く知らず男女の愛を超えた家族の様な深い愛情に溢れた関係は美しくも哀しくもあり天狗になっていたフレディをバンドに引き戻した必要不可欠な人物だった事を知った。
同時にフレディを食い物にしていたポールの存在も知らなかったし後年の恋人ジム・ハットンとの出会いにも驚きフレディの死の直前迄続いた二人の関係に涙した。
後のマネージャーになったジム・ビーチをマイアミと名付けたシーンには笑った。
マイアミビーチね。笑笑
フレディがそんな事言ったんだ。
名前の由来が単純だけど面白い。
そんなエピソードがフレディ亡き今じんわりと沁みてくる。

「Do they know it’s Christmas ?」のバンドエイドしか知らなかったのでライブで募金を呼びかけたライブエイドは知らなかった。
それにしてもボブ・ゲルトフ役の人、全然似てない!と笑ってしまった。
そこが惜しい気もしたがまいっか。

ニュースで今作を取り上げていてクイーン世代でない若い人が大勢泣きながらペンライトを振って歌っているのを観たので2回目を観に行った時歌詞がスクリーンに出る回を観に行ったのでペンライト持っていかないとダメかな?とドキドキして娘と行ったのだけどこっちではライブエイドの場面で若干一名両手を高く上げてノリノリの人が見えたけどペンライトを振っている人はいなかったし劇場が歌声で包まれることもなかった。
私は自分的にはひっそりと歌ったんだけど娘にはお母さん聞こえてるよ!と小声で注意を受けた。
やっぱり東京のオーディエンスは流石だな。
ちょっと恥ずかしいけど私も小声じゃなく大声で歌ってみたかったかな。
あの一体感を私も感じたかった。
残念だったな。


娘は小さい頃からクイーンのMVを見せて育てたので(笑)娘もベスト盤はこの年齢にしては詳しいと思っていたが終わった後知らない曲が多くてびっくりしたと私の1回目と同じ感想で笑った。
今Apple Musicでクイーンの売れた曲以外を聴いていて思った。
まだまだ知らない隠れた名曲が多かったんだ。
そういう意味でもこの映画はフレディが死んでなおもクイーンを愛し聴き継がれる事を狙ったのなら狙い通りだ。
ミステリアスだったフレディ・マーキュリーの生い立ち、プライベートをあからさまにして一人の人間として音楽への真摯で誰もやったことのない事への熱意と真っ直ぐな行動力に打たれる。
フレディだけじゃなくブライアンもロジャーもジョンも皆演奏も歌も上手くて個性的でその4人が集まった時クイーンが生まれた事に本当に感謝を感じずにはいられない。
年を越す前に二度観たのだけどあらためてレビューしてみるとまたもう一度観たくなってきた。
監督が途中降板というアクシデントがあり違う監督が引き継いだそうだけど無事に世に送り出してくれた事に感謝。
サントラのライブエイドの所は何度聴いても痺れる。
「Love Of My Life」は必聴。
やっぱり3回目あるかなぁ。
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