りっく

そして父になるのりっくのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
4.2
ひとつひとつのシーンだけ見れば子供との微笑ましいやりとりが続くのに、
全体から観ると心がズタズタになるほど残酷な映画。
一瞬にして空気を凍りつかせる感じ等、是枝さんは映画の中の空気を操るのが実に巧みだ。

ラストカットが印象的だ。
立派で一人前の父親への成長譚という安易な結末に集約せず、
形に囚われず寄り添う2つの家族。
ボロボロの電気屋の前に高級車が止まっているという歪な画一発でそれを見せてくれる。

社会的地位や名声といった尺度では決して計り得ない幸せ。
子供にとってはどちらの環境で過ごした方がいいのだろうか。
都会で生きていこうとしている身としては、後々の人生に少なからず影響を与えそうな映画。
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