しゃにむ

クロニクルのしゃにむのレビュー・感想・評価

クロニクル(2012年製作の映画)
3.5
「フォースは知識と防御のためにある。攻撃には使うな」(伝説のジェダイの言葉)

フォース(超能力)が覚醒した3人のジュウダイ(十代)の学生達。ある者はスカートめくりに、ある者はポテチを食べるのに、ある意味平和的にフォース(超能力)を利用していたのだが、中でも特に心の弱いジュウダイ(十代)はフォース(超能力)の強大な力に心を奪われ暗黒面に陥る。弱く脆い心はやがて友への羨望と嫉妬の炎を灯す。暗黒面に堕ちた友を救い出すべくジュウダイ(十代)の学生は望まぬ戦場へ身を投ずることになる…これは後のジェダイとなるジュウダイたちの物語である。

口直しにファウンドフッテージ形式の作品を鑑賞。高校生達がとある事情で「超能力」を身につけて数奇な運命をたどる様をカメラを通して目撃します。「AKIRA」や「キャリー」の影響を受けた作品だとか。詳しい方はこの情報だけで結末が大体見当がつくのでは?鑑賞前から大体結末の予想がついていたのでなるほどって感じでした。が、この形式のSFストーリーは斬新。超能力で浮遊させた空中からの撮影はこれまでにないです。ラストのバトルではカメラだけではなく目撃者の視点を次々切り替わり、目の当たりにしているような臨場感がありました( ゚Д゚)

シンプルな超能力です。ものを浮かせたり、空を飛んだり、手を触れずに駐車したり、人を弾き飛ばしたり、超能力と言われてまず連想する典型的な使い方ですね。

斬新さに欠けると言えば確かにそうですけど今作はサイキックアクションに重点は置かず、実際に高校生くらいの年齢の若者が異能の力を手に入れたらどうするか、というトピックが本作の趣旨であるように思えました。3人それぞれ性格が違い、超能力に対する自身の考え方もバラバラです。万能になる前から生活に順応出来ていた者とそうでなかった者のコントラストが顕著に表れていました。それぞれ違う結末を迎えます。

主人公アンドリュー(デイン・デハーン)は3人の中でも特異です。学校では友だちが少なく、ランチはグラウンドの観客席で独り(たまに連れと)食べます。学校だろうとスーパーだろうと常にカメラを回している変人。グラウンドを撮影していたらチアガールにキモいから止めてと注意されたり。家では父親から虐待じみた扱いをされ、大好きな母親は病気、そうした周囲の環境が彼の心に黒いものを垂らすことになります。

アンドリューが心を許したマットとスティーブは親友でした。サイテーな日々の唯一の心の支えでしたが「力」を手にしてから心の均衡に軋みが生じ始めます。

超能力も所詮武器です。ナイフと同じ。危険。要は持つ人次第です。精神がしっかりした人が持ち主なら正しい使い方がわかります。反対に精神がひ弱な人が持ち主になると無闇に人を傷つける単純な凶器になります。

心の強さと「力」のバランスが取れなければやがて破滅を招く。心が「力」より弱ければ自分を失ってしまいます。ヒステリックにナイフを振り回す少年です。アンドリューはバランスがうまくとれませんでした。慢心。それが友人らと唯一違った最大の違い。思い上がって自分を頂点捕食者呼ばわりして大暴走。自分を失いかけています。終盤の展開は観ていて不憫になりました(´ι_` )

デイン・デハーンの好演です。平素から陰のような秘密が漂うデインは内向的で繊細、プッツンしたらヤバいキャラが似合います。彼がSFモノの主人公だったら闇堕ちエンドしか想像出来ないのは自分だけかな。確かこの時は20代くらいなのですが、いかにもナイーブそうな高校生らしさ、が存分に現れています。ちょっと幼げな感じがまたグーです。父性本能がくすぐられますな( ´艸`)

11月4日はいいフォースの日です。皆さま正しくフォースを使いましょう。
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