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モリー先生との火曜日のしゃにむのレビュー・感想・評価

モリー先生との火曜日(1999年製作の映画)
4.9
レモン先生さようなら。
恩師と呼べる人に出会えた人生はどれだけ幸福なのだろう…と切にしみじみと感じました。自分は卒業してからたびたび思い浮かべる先生は特にいません。生皮な生徒だったので笑 だけど恩師と呼べる人は確実にいます。学校の先生ではなくて塾の先生でした。年もあまり変わらない大学生だったけど人に魅了され惚れ込んだ経験はあれ以来一度もなかった。これからも無い気がします。学問だけでなく人生についても学べるなんてそんな先生いません。もう二度と会う機会は無いだろうと思いますが、学んだことは忘れません。人生のここぞという時にふと先生の言葉が何故か思い浮かび懐かしい気持ちになって頑張れます。しょっちゅうぼくを焚きつける人だったので苦笑い。自分のこんな姿を見たらどんな顔するかなと思うと。
今作は名優ジャックレモンの遺作です。遺作に相応しい別れをテーマにした作品です。だけどモリー先生がいつも優しくニコニコしているから悲しみも和らぎます。辛気臭い顔し無いで、ね、笑って話しておくれよ。と言われても…若い頃の三枚目のサラリーマン役ばかりしか知らないので老け込んですっかりおじいちゃんになったジャックレモンに少しショック。変わらない素敵なとろけるような笑顔に余計に涙ぐみ…この映画は笑って泣いてと忙しいんだから。
恩師の難病を知った元教え子が何十年ぶりにモリー先生の元を訪れます。長い間顔を見せなかったことが後ろめたくて…だけどモリー先生は「久々に会ったのにハグもしてくれないのかい?」と優しく出迎えてくれます。教え子に「元」を付けるのは間違いでした。教え子はいつまで経っても先生の教え子です。卒業したっていつまでも教わることがあります。実際、モリー先生は年をとっても先生であり続けます。学ぶ意欲は若者に負けません。加齢は成長なんだ、私には喜びなんだよ。とにかくポジティブです。死に瀕しても先生です。「死に方がわかれば生き方がわかるだろう」死から生を学び取る。常人には思いつかない芸当だと思います。いい年して人生に迷った教え子に先生は最後のレッスンを諭します。愛について、家族について、仕事について、生きることについて…この映画を観ていてメモをどれだけ書いたことか。示唆に富んだ有り難い言葉がたくさん出てきます。「痛みと愛は良き師だ」「愛は理にかなった行動だから素直に受け入れなさい」視聴者もまた生徒です。モリー先生からたくさん学べます。先生の授業に終わりはないような気がします。「死んだら人生は途切れるけど、絆は途切れないよ」また先生の授業を受けたくなりました。
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