来夢

闇を生きる男の来夢のレビュー・感想・評価

闇を生きる男(2011年製作の映画)
4.2
鈍器で殴られてもこんな音出ないだろうってくらい重たいパンチ音。音が重たい映画ってストーリー的な重さもしっかり感じられるよね。リアルをリアルに描いても映画ではリアルにならないっていうことだな。演出の嘘は大切。そしてこれは全男が泣く映画。痛くて。どんなに男女平等であるべきといわれても、この痛みばかりは共有できない男の痛み。物理的な痛みだけでなく、それ以上の心の痛みを伴うことも男なら容易に想像できるよね。まだ幼い少年時代にして、未来永劫の尊厳を奪われてしまったという、なんとも哀しく辛い話。その巨漢に暴力と哀しみと愛をもった彼はまるでフランケンシュタインのよう。ホルモンマフィアというあまり聞き慣れない設定が面白くもあり、そこでも重ねて男性ホルモンを意識させてくる。いろんな意味で肉肉しい、ヘヴィーという言葉が最も似合う映画だね。
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