来夢

月に囚われた男の来夢のレビュー・感想・評価

月に囚われた男(2009年製作の映画)
4.3
初見時、凄く衝撃的だった! みたいな感想はなく、でもなんかいいよね。流石デビッドボウイの息子だけあってセンスいいんだな。くらいの感じだったんだけれど、公開から十数年たっても、自分でも驚くほどしっかり内容覚えてるんだよね。俺、すぐ忘れちゃう人なのに。映画の名前も未だによく目にするし、バカ高い評価ってわけじゃないけれど、じわりと残った良作って感じなのかな。って認識での再鑑賞。年季が入って味がでた? こんなに良い映画だったっけ? なんか凄い良いじゃん。クローンって当時でもそこそこ題材にされることもあったし、その苦悩というのも散々描かれてきたのもあって、最新のSF映画としては弱く感じるところがあったのかもしれないけれど、時間が経って、SF要素が最先端の題材である必要がなくなったからか、純粋にドラマ部分を堪能できたっていうのも大きいかな。この映画がオマージュする80年代に対して「昔の映画」としての距離が近づいたってのもあるかもね。
一級品のせつないドラマと、同一人物なのか別人なのか際どいキャラたちの色分け、AIに持たせた人間性とそれ故の機械とクローンの共感。そしてやっぱり音と映像のセンス。どこをとっても針の穴に糸を通すような繊細さによって成り立ってるハイクオリティな作品でした。
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