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凶悪のjigsawのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
5.0
「究極の人間の悪の部分」


何度目かの視聴。いやー、何回観ても秀作。
豪華すぎる俳優陣はもちろん、全てに置いていい意味の問題作。
この作品の売りは(個人的にです)、視覚的グロさがほぼ皆無にも関わらず、心理的グロさを強烈に感じる点。
類似作「冷たい熱帯魚」と相反する位置に。
人間ってこんなに簡単に殺せるのか。
人間ってこんなに狂気を秘めてるのか。
と、考えてしまう作品。

もう、リリー氏、ピエール氏の演技力が神すぎて(本当にトチ狂ったかと思える演技力が素晴らしい!流石です)、山田孝之が完全に食われている感。もちろん山田孝之もいい味出してくれてはいるんですけど。
特にリリー氏、怪演、名演。怖すぎた。
普段は本当に優しい笑顔が似合う俳優ですけど、その笑顔を巧みに「狂気化」に利用している。本当に怖いのはピエール氏が演じたタイプよりリリー氏が演じたタイプなんでしょうね。表情や本心を決して露にせず、躊躇いなく実行出来る。そこに慈悲や迷いは皆無。

ストーリーは割と単調。
全て金の為。不動産ブローカーとヤクザやさんが手を組み、頭脳戦と肉弾戦に別れて手を組み殺害していく。
劇中リリー氏演じる木村の

「じゃあ殺しちゃおうか(*`∀´*)」

的なさらっとした台詞。元ネタは実話なんですけど、どれぐらい脚色したのかが気になる作品。脚色なしはありえないだろうけど、実際こんな人間がいたという事に絶望感。

ピエール氏演じる須藤は捕まりますが、結局あの告発も全て我が身可愛さ。
意のままにならず、豹変するシーンがありますが。

この作品の最も怖い点は、そう言った狂気の部分を誰でも奥底の片隅に秘めているという事。
「理性」という絶対的抑制剤が切れた時、誰でもこうなってしまうとしたら、人間って完璧じゃないんだなあと再認識してしまう。

ひ弱な高齢者を慈悲なくいたぶるシーンがあります。苦手な方は注意。
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