爆裂BOX

ノー・ワン・リヴズの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ノー・ワン・リヴズ(2012年製作の映画)
4.3
北村龍平監督の「ミッドナイト・ミート・トレイン」に続くハリウッド進出後2作目の作品という事でそこそこ期待して鑑賞。痛快B級娯楽ホラーとなっていて面白かったです。
ストーリーは旅行中のカップルが強盗団に襲撃され彼女は死亡。しかしカップルの車のトランクから誘拐された少女が発見され、実は殺人鬼だった男の復讐が始まる!という物です。こういう「悪人がもっと悪い真の悪ともいえる存在に遭遇する」という設定は結構好きです。
前半は幸せそうなカップルの様子と豪邸に盗みに入り、帰宅した一家を容赦なく射殺する強盗団の一人ブーンの凶行を交互に描いていきます。ただ、カップルの会話等を聞くと「あれ…?」と何か違和感を感じるかもしれません。
主人公のドライバーが本性を露わにしてからは強盗団が一人づつ殺されていきます。
ルーク・エヴァンス演じる主人公の殺人鬼が冷酷で残忍ですが、トラップ等を用いて強盗団を追い詰めて狩りたてていく様はダークヒーローの様でかっこいいです。誘拐した少女に対する歪んで狂った愛も面白いですね。彼女のベティも傷跡などからエマと同じような経緯で恋人になったんだろうなと想像させる演出は悪くないですね。
また、誘拐される金持ちお嬢様も中々にふてぶてしくていいですね。強盗団のメンバーを格闘で倒して逃げる所は「本当にお嬢様!?」って思ってしまいました(笑)演じたアデレイド・クレメンスは「サイレントヒル:リベレーション3D」でヘザーを演じている人ですね。
ゴアシーンも機械に放り込んでミンチにしたりショットガンで頭を吹き飛ばしたりと中々過激です。袋詰めにされた血肉が飛び散るシーンとイーサンの中からドライバーが現れるシーンは強烈でした。
ただ、アクション面は思ったほどでもなかったかな。強盗団がほぼ無力でやられていくので、もうちょっと互角に戦う相手が欲しかったですね。「VERSUS」を楽しんだ身としては銃撃戦や肉弾戦等ももっと欲しかったですね。いきなり始まる特に意味のないキャットファイトシーンはこの監督らしいなと思いましたが。終盤のスクラップ場での戦いは中々盛り上がりましたが。
テンポも良く、B級ホラーとしては充分に楽しめる作品だと思います。北村監督はこれからも頑張ってほしいですね。