ねまる

スプリング・ブレイカーズのねまるのレビュー・感想・評価

スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)
3.3
若さというのは"怖さの無さ"なのだと思う。
何も怖いものが無い、恐れがない。
怖いものなく自分を探して、どこまでも行ける。
そして、恐れを知った時、人は大人になる。

失うものが怖ければ、
今の一瞬の衝動や自由の代償をこんなに背負えない。
どこまでもどこまでも、怖いものなく進んでいく彼女たちに、どこで自分が怖いと思えるか。
それが真意なのだと思う。

海とお酒とクスリで毎日パーティが新しい自分探しなんて理解出来ないパリピ思想。
私は大学を抜けてパーリナイなんて、そもそも先が見えないことするの怖いので、ここで脱落。
自分の知らない自分に出会うことすら怖いです。

全くもってifの世界。
でも飛び出て分かることもある。
飛び出なければずっと動物園のライオンの気分かも。
外の世界を見てみたい。
自分の知らない世界観を見てみたい。
怖さを知る前だからこそ許される好奇心。
怖さを知って檻の中に戻るのもまた成長。

怖さを克服することは勇気でもある。
酒やクスリや犯罪でなければ、
怖さを知った上で行動できるのは凄いことだけど、この子達の怖いもの知らずは次元が違うの。

エイリアンと呼ばれるギャング擬は、彼女たちを犯罪の世界へ導く。が、彼女たちの前ではやはり人間であるところが面白い。
彼は怖いから。怖いという感情から目を背けるために名乗る人間では無いエイリアンという名前。
奴隷だと思っていた彼女たちに銃を向けられたときの怯える表情。
がちゃがちゃした金や銃、家、豪邸で身を固めていながら、中は大人に成長できなかった子供っぽさがちらつく。

2人は引き返せたかもしれないが、
2人が得たのは自由や新しい自分ではなく、180°変わってしまった世界なのだろう。
檻の中にいると感じる人は、映画の中でフロリダのパリピワールドを体感してみるくらいがちょうどいいのかもしれない。

カラフルな色使いに、R18の品に欠ける演出は、好みがかなり分かれるだろうが、
A24配給と言われれば、らしい気がする。

センスある映画の配給の代表のA24。
そんなA24の最初に名を知らしめたのがこの作品。
ベネチア国際映画祭で金獅子賞への選考入りを皮切りに、評価も興行も成功した。

全米8月公開のA24『Bodies Bodies Bodies』も似た雰囲気なので気になる。
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