二式

狂武蔵の二式のレビュー・感想・評価

狂武蔵(2020年製作の映画)
2.8
やりたいことはわかる。大多数の殺し合いを長回しで撮ることで、戦場のリアルを見せようとしてるんだと思う。どんどん疲れてるのが目に見えてわかり、気迫で動き続ける姿は凄い。重い鉄の棒の刀を切るだけではなく鈍器として使う戦闘もリアル。なかなか切る間合いにいけずにちょっかいをかけるところも実際に殺し合いになったらこんなものかと思う。本当に長回しで撮りきった事はものすごい事だと思う。

ただ、映画として面白いかと言われるとかなり微妙。まず、話がなさすぎる。武蔵に目的やゴールがあってそれに向かっていく過程で戦うのが普通。その目的やゴールに本来ならなるはずの対象をしょっぱな殺しちゃうから一体なぜ戦って、どうしたら終わるのかが全くわからない。アクションをとにかく見せる映画とはいえ、さすがにここまで話がないとつまらない。

そして、1時間以上ある長回しに単純に飽きる。アドリブ的にアクションをしてるので凝ったアクションは出来ず、ほぼ同じ倒し方の繰り返し。5分経とうが30分経とうが微妙に場所の変化はあってもそれ以外は何も変化なし。敵も自分からやられにいったり、囲んで後ろでウロウロするだけだったり、やられた人が歩いてカメラアウトしたりとやらせ感があり、ずっと見るのはだいぶキツかった。

ラストの1分ぐらいのしっかり動きを作り込み、編集もしてあるいわゆる映画的なアクションシーンがこの映画で断トツで1番かっこいい。こんな感じの全編アクションの映画を見たい。全編結局長回しとかじゃなくて、今まで通りの形をしっかり作って編集でより良く見せる方が映画としては正解なんだと思った。
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