キルスティン

ヒステリアのキルスティンのレビュー・感想・評価

ヒステリア(2011年製作の映画)
5.0
 エロメイソンのみなさま、ご存知でした?セックス・ツールとして広く浸透しているアダルトグッズ「大人のおもちゃ」電動バイブレーターは、19世紀末に女性のヒステリーを治療するために発明された医療器具だったということを…

あらすじ…ヴィクトリア王朝が栄華を極める、1890年のロンドン。街では、感情が過敏になったり、不感症になったり、異常なまでに性欲が強まったりと、さまざまな症状を引き起こす女性特有の病気とされるヒステリーが広まっていた。そんな患者たちを救おうとする婦人科の権威であるダリンプル医師(ジョナサン・プライス)は、あるマッサージ療法を生み出す。そんな中、彼の診療所で多くの女性の治療に明け暮れる青年医師モーティマー・グランビル(ヒュー・ダンシー)が、あまりの激務から腕が動かなくなってしまった上に、診療所を解雇されてしまう。(引用)

ざっとあらすじから、ま〜た面白がってふざけた映画作りやがってと思いましたが、バイブがそんな昔に発明されたとは驚きであり、拙者、把握すべし義務がある故に観たのでござる。
や、驚きです。当時、女性のヒステリーは一種の病気と扱われていたのです。作中、ヒステリー(感情的)を起こしたシャーロット(マギー・ジレンホール)は裁判にまでかけられる始末(ヒスに加えて衝動的に警官を殴った)。恐ろしい時代ですねぇ。私だったら無期懲役でしょうに。
そして、その女性のヒステリー治療の一環として行われていたのが、医師の"手"による◯ん◯マッサージ。マジすか!?私なら今ならおトク年間会員間違いないですが、あ、病院か。いっそのこと入院させてくれ。そのマッサージとやらで延命治療を望む。
とまぁふざけていたのは拙者の方であって、このスコア5は決して物好き故の5ではない。
本作、想像より遥かに出来がよい。まず、19世紀末という時代とお国柄、映像が美しい。無駄のない人物描写が見事。俳優陣の本作への理解と演技も素晴らしい。真面目過ぎずふざけ過ぎず要点をコンパクトに押さえた100分。
キャスト間違いないな。
作中、バイブを体験する患者第1号となるおばちゃん(70代)は感じ始めると突然オペラを歌い出し、絶頂でソプラノのいっちゃん高い音を発します。一見、ふざけた演出のようにも思えますが、拙者、オペラも好きなんですが、ソプラノを聴いてるときってすごい高揚するんす。故にソプラノとオーガズムは同類なんです。理にかなった演出なんですねぇ。素晴らしいですねぇターニャ監督。
主演は私生活でクレア・デインズを妻に持つヒュー・ダンシー(モーティマー)。嫁が不細工で好感持てますねぇ。モーティマーが働く病院の院長ダリンプル医師の長女シャーロット役にはジェイク・ジレンホールの実姉マギー・ジレンホール。シャーロットは短気で怒りっぽくはあるが、知的で慈愛に満ちており、女性の自立と解放を目指している進歩的な女性。モーティマーの婚約者となる次女エミリー役にフェリシティー・ジョーンズ。フェリシティーの透き通るような色白な肌、あのかいらしい顔、貞淑で聡明なエミリー役にドハマりです。
ラブコメではありますが、そう単純な展開ではありません。スカっとします。あぁ〜良かった〜と思います。
ラストシーンの展開は、え?ちょっと二人そこ気付いちゃうの早すぎない!?運命の人は人なんやけど勘が良過ぎくない!?うん、いずれそうはなるんやけど、ワシもそうなることを望んではいたけど行動早すぎちゃう?や、全然いいよ、全然いいよ、や、ありがとう!早い気付きと決断にちょっと驚きはしたけど全然いいよ!フォウ!って感じです。
最っ高にロマンチックなラストでございます!
エンドロールでは歴代のバイブちゃんたちが写真と共に紹介されるという徹底したテーマスタイル。これどうやって使うの?これでほんまにいけんの?試行錯誤の結晶であろう様々な形のバイブちゃんたち。最後まで目が離せません!
全っ然エロくない真面目な映画です!
オススメですっ!
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