NAOKI

きっと、うまくいくのNAOKIのレビュー・感想・評価

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
3.8
リョウスケはおれの高校に途中から編入してきたやつだった…
どこの高校から来たのか聞いておれは仰天した…全国的にも有名な進学校だったからです。
おれは好奇心丸出しで尋ねました…

「ねえねえリョウスケ君…何やったの?ねえねえ何やって退学になったのかな?ねえねえ」

リョウスケはそんな馴れ馴れしいおれに嫌な顔もせず答えてくれました。
「退学じゃないよ…あの学校、毎週『行進』の練習があってね…それが嫌で辞めたんだ」
聞けば月曜日の全校朝礼のあと、毎週勇壮なマーチに合わせてグラウンドを何周か回らされる「行進」の練習があったと言うのだ…
最近でもあるのかな?
「ぜんたーい…止まれ!」の号令で「いちに!」と声かけて止まるやつ…

「毎週じゃないけど…この高校でも時々
『行進』の練習はあるぜ…」
「え?しまった!調べてから来るんだった!」
おれたちは顔を見合わせて笑った。

ほんとか嘘か知らないが「行進の練習」が嫌で名門高校を辞めたというのが、まだガキだったおれにはクールでかっこよく思えて…おれたちは急速に仲良くなった…

映画研究部の連中に…前の高校名を出して「頭のいいヤツだ」とリョウスケを紹介すると…彼は嫌そうな顔をして訂正した。
「みんな○○高校の名前出すと『頭いい』って言うけどバカもいたぜ…この高校でもテストで上位のやつを『頭がいい』下位のやつを『頭が悪い』って言うのかい?それは『成績』がいい、わるいであって、成績のいいバカもいれば成績の悪い賢いやつもいるだろう?おれが頭がいいか悪いかは付き合ってから判断してくれ…」
おれはすかさず皆に言った…
「な?頭のいいやつだろう?」😸


この「きっと、うまくいく」のランチョーの人間力をみたときリョウスケを懐かしく思い出しました…

インド映画が称賛される理由になっているインド映画の持つ「圧倒的な型」ってやつが実は苦手です。
夢のあるご都合主義と完成度の高いミュージカルパート…

ハリウッドに対してボリウッド映画という強烈な型を確立しているインド映画…「映画夢の国」みたいで素晴らしいとは思いながらも…例えばカースト制や猟奇殺人や信じられない性犯罪など時折耳にするインドの闇が脳裏をかすめます…

この「きっと、うまくいく」はそんなおれでも素直に楽しめて感動できるインド映画でした…正直何回か声出して笑ったし、何回か堪えきれずに涙しました…
しかし…逆説的にランチョーのああいう行為がカタルシスを生む社会背景が実在するんだと感じてしまう自分もいるのです…
エンジニアと医者以外は成功者と認めない学歴至上主義…極端な貧富格差…こういう価値観が映画を面白くするための誇張ではなく実際にインドには存在するんだなぁって思ってしまうのです。

そんなおれですが…まだインド映画観たことないっていう人にはこの「きっと、うまくいく」と「バーフバリ」は自信を持ってお勧めします!ホントに面白かった!
逆にこのフィルマにいるインド映画強者のフォロワー様、苦手意識を持ってるおれにお勧めボリウッド作品を教えてください…

リョウスケとは高校出てから会ってません…風の噂では海外に出て成功してるらしいという話を聞きました…
そのうち「こんなところに日本人」みたいなテレビ番組で目にすることがあるかもしれません😸💦
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