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魔の巣 Manosのblacknessfallのレビュー・感想・評価

魔の巣 Manos(1966年製作の映画)
2.0
カルト映画の定義が本来の意味とは別にオブスキュアのホラー映画でその出来の悪さが突き抜けたおもしろさを持ったものを指すときに使われるようになった。その意味あいでカルト中のカルトと言われる『魔の巣』を数年ぶりに再鑑賞。

これ観た後だとエド・ウッドやアンディ・ミリガン、ドン・ドーラーの映画がちゃんとしたもの見える笑 それぐらいひどい。

道に迷った3人家族が森にある屋敷に泊まることになり、そこで恐怖に襲われる古典的な話。
ストーリー運びは普通なんだけど、演出、演技、照明、カメラワーク、編集、全てがチープで雑でカメラを手に入れた子供が友達と思いつきで数時間で撮ったようなクオリティ。

でも、ホラーの底辺の底は深くて豊穣なので恐ろしいことにこういうクオリティの物は掘ればザクザク出てくる笑。だから単にチープでひどいだけではカルトとは呼ばれない。そこに不可解なおもしろさが無ければ。

自分的に『魔の巣』の一番の売りは、屋敷の主人の複数いる奴隷的な立ち位置の"妻"と呼ばれる魔女っぽい衣装の女達が迷い込んできた家族の幼い娘を主人が崇めてる「マノス」(邦題はマノスからきてる笑)と言う悪魔に生贄として捧げるか、逃がしてあげるかで口論になり、やがてキャットファイトになるシーンだと思う。
このシーンがマヌケでおかしすぎる笑
「幼女の子はかわいそうよ」「何言ってるの、マノス様に逆らうことは許されないわ、バカ女」「言ったね、このブスがアァァァー!」て感じで激しい口喧嘩になって主人の静止も聞かず生贄にする派と生贄にしない派に分かれて夜の砂場で大乱闘になる。ゴシックな怪談テイストにまったく相応しないこんな展開をぶち込む正気とは思えないセンスにしびれるよ笑

他にも恐怖シーンだろうが緊迫感の高いシーンだろうがお構い無しに流れ続けるサックスをメインにしたほのぼのしたムードのジャズ調の謎のダサいSE、夜から朝まで路肩にオープンカーを駐車してずっとイチャイチャしてるカップル、そんな変人だが人畜無害なカップルを執拗に尋問するハイウェイ・パトロールの警官などまったく意図がわからない演出のオンパレードで困惑させられまくる笑

ホラー的な恐怖は一切ないけど、何故自分はこんなもの観てるんだろう?限りある時間を無駄にして。観るべき有意義な映画を無視して何でこれをチョイスしたんだろう?と言う自分は自分が思ってる以上に愚かなんじゃないか!?という実存的不安と恐怖に襲われるバッド・トリップ・ムービーだよ😂

再鑑賞でも打ちのめされたけど、もう一生観なくていいな。
そもそも、別にそんなに観たくなかったんだよ。配信ばかり観てるからたまにはDVDプレーヤー使わないと勿体ないと思って選んだだけで、にしても、もう少しマシなの見ればいいじゃんと思うかも知れないけど、もう配信なりレンタルなりで観ることができるソフトは処分してしまってて、残りはこんな感じの絶対配信にラインされず、売ってしまうと手に入れるのが難しそうな変なホラーばっかりなんだよ。困ったもんだな😩
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