そんまま

ペトラ・フォン・カントの苦い涙のそんままのレビュー・感想・評価

-
みんな自分が嫌いでみんな自分を愛してくれる人が好き。
人間の自己愛の支配と服従の物語。

長回しのセリフが作品としてのリズムをとっていて、構図と目線で登場人物の心情を語らせるというレベルの高い描き方!

長いセリフの最後にきちんとつまり言いたいことはこれ、というような一言を加えるし、
その上でまたセリフが続いていくからテンポがキマっていて、観ていて聴いていて間延びしないし気持ちがいい。

部屋が変わらず、寝室だけでこんなにも豊かに映画が撮れるなんて。

最後の終わり方も「仕舞い方」として最高だったし、とても良いハッピーエンドだったな…。

終始レンブラントの夜警の少女のように映るマレーネ。
マレーネの解放はペトラ自身の解放でもあるんじゃないだろうか…?うちなる自分みたいな。

もー書ききれないくらい複雑で奥ゆかしい良い映画でした!