せんきち

殺人の告白のせんきちのレビュー・感想・評価

殺人の告白(2012年製作の映画)
2.8
相当な珍作韓国映画。

女性を狙った10数名もの連続殺人事件。主人公の刑事チェ・ヒョング(チョン・ジェヨン)はすんでのところで容疑者を取り逃がしてしまう。それから15年。公訴時効を迎えた後、自分がその殺人犯だとイ・ドゥソク(パク・シフ)と名乗る男が現れる。彼は「私が殺人犯だ」という暴露本を出版し、一躍有名人に。ルックスの良さもありアイドル的人気を得る。事件の遺族達はイ・ドゥソクの誘拐&殺害計画を実行しようとする。イ・ドゥソクを守らざるを得ないチェ・ヒョングの前に「俺が本当の犯人だ」とJと名乗る仮面の男が現れる。果たして誰が嘘をついているのか...


粗筋を読めば分かるが韓国映画のド傑作「殺人の追憶」のフォロワー的内容だ。予告も見ずに観たのでてっきり「殺人の追憶」後日談のようなソリッドな内容かと思ったら全然違った。冒頭の激しすぎるアクションで「何か違う」と思ってたけど、序盤のイ・ドゥソク誘拐→奪還のカーチェイスシーンで疑惑は確信に変わる。このカーチェイスが力入り過ぎてるのだ!007シリーズか「デス・プルーフ」並みの激しさとマンガ的演出がてんこ盛りでお話のリアリティレベルが一気に下降する。「あ、これ真面目に観たらあかんやつだ」と思うのだが、所々に入る犯人のえげつない描写が洒落にならんレベル。

監督のチョン・ビョンギルは物凄い娯楽映画気質なのだろう。色んな映画の引用に溢れているのだが、ベースが「殺人の追憶」で「007」「デス・プルーフ」「ノーカントリー」「悪魔をみた」とか食い合せ悪すぎるだろう。小洒落たレストランと思ってコース頼んだら前菜に山盛りのフライドポテト(しかも美味い)が出た感じ。

この過剰なミスマッチ感はパンフの松江哲明も「なんか変だけど凄いものを見たな」とコメントしてた。さもありなん。


パンフ読んで驚いたのは監督の着想の元が「殺人犯が暴露本を出してベストセラーになり、トークショーにも出演するということが日本であったから」というコメント。ってことは、パク・シフの元ネタって佐川一政かよ!!

この映画に限った話じゃないけど、韓国映画の登場人物って皆頑丈なのな。腹刺されたり、ビルから転落した程度では全く戦闘力が落ちない。多分、首落とさないと死なないな。本作のクライマックスなんか、全員ターミネータークラスの頑丈さ!
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