chunkymonkey

アドベンチャーランドへようこそのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

4.0
非モテ男子が女の子目当てに頑張る馬鹿げた系のアメリカ映画って無数にありますが、この作品はこの手の映画にしては極めてお上品で丁寧に作られており予想外にとってもよかったです。逆に下品でふざけてガハハハを期待する方には合わないと思います。

舞台は1980年代のペンシルベニア州。大学を卒業し大学院進学を控えるジェームズ君は、卒業旅行でヨーロッパに行く予定がお父さんが左遷になってキャンセル、夏の間地元のしょぼい遊園地で働く羽目に。だがここでまさかのモテ期到来?この設定は昨年度末に卒業旅行に行けなかった学生さんたちを想うとしんみりしますね...

この映画のいいところは2つあって、まずは主人公カップル(ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート)のキャラクターです。めっちゃいい人というか年齢の割にすごく繊細で全然擦れてない。二人ともヤワでガードが緩くよく過ちを犯すけど、全く意地を張ったところがなく自分の非を認めて素直に謝れるのが素敵です。全体的に登場人物のいい人度は年功序列?になってますね。若者たちはいい人として描かれ、一回り年齢が上のライアン・レイノルズ演じるコンネルがちょっと残念なキャラだけどまあ許せる範囲内、主人公二人の親たちがダメ人間。

もう一つは時代設定。1980年代のちょっと古くてあか抜けない感じが逆におしゃれです。遊園地や街の雰囲気、そして何よりも音楽がとってもいい味出してます。あと、家がお金なくなったけど働きながら進学しようなんて夢のある話ももう今の時代じゃ不可能ですね...近年、アメリカの大学の年間の学費は普通のリーマンの年収と変わらない水準も当たり前で、親が子供の小さいうちから学費をコツコツ貯めてない時点でもう人生終了です。えらい世の中になったもんです。だから最近の青春モノは今年公開のCODAとかDear Evan Hansenとかもそうですがお金の問題が強く影を落とす傾向が強い。

コロナ渦もあるし最近の学生さんは本当に大変だなあと思います。読まれている方で学生さんがおられましたら、こんな映画を観たりしてちょっと息抜きしながら頑張って下さいな。
chunkymonkey

chunkymonkey