毒性ガス漏洩事故の発生を知らされた若者カップルが、理不尽な権力が及ばない理想郷を求める旅へと出立する。ポスト・アポカリプスを題材に取っている、ブラック・コメディ作品。日本では未ソフト化だが、筆者はWOWOW放映時の録画で鑑賞している。
25歳以上を抹殺する毒ガスの影響により、ヒッピーの若者と強権を振るう上級国民だけが生き残っている、という世界観の物語。アメリカン・ドリーム(=虚構)を追い求めるヒッピーの「頭の中がお花畑」状態を、スケッチ集のように描いている。
どこかモンティ・パイソンを想起させられる作風だが、脳裏に焼き付くようなシークエンスは皆無に等しい。主人公が宗教家やカウボーイに扮したり、フットボールの不良チームと衝突したり、ほとんど"ゴッコ遊び"のようなドタバタが展開される。
エドガー・アラン・ポーがバイクに跨った格好で諭してくるシーンと、BBCドキュメンタリーで"便座"呼ばわりされていた自動車、フォード・エドセルの登場が最高潮。また、ヒッピー特有のアートワークを堪能することができるため、サイケ好きは一見の価値あり。