MARUKO

永遠の0のMARUKOのネタバレレビュー・内容・結末

永遠の0(2013年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

完全にフィクションではないのだが宮部は実在しないのだと知ってから観て、正直冷めてしまった。“ハクソーリッジ”を見たあとだからか、感動を押し付けられているような感覚になってしまったのは、自分がひねくれているからか。

宮部っているのか。調べてから観るんじゃなかったと後悔している。語り方がまず受け入れられない。合コンのシーンでこの映画は何が目的なのかみえみえすぎる。宮部久蔵という一人の人物について描きたかったのではないのか。あれだけ死を恐れた、家族を愛した宮部がなぜ特攻で死んだのかを描きたかったのではないのか。正直何がしたいのかわからない(わかるけど)。
多くの戦争経験を調べあげて、語られているのは分かる。一つ一つの語りに重みがあるのも分かる。でもその一つ一つが宮部がフィクションだという事実によってバラバラに存在してしまっている気がして、結果として全体がいかにも作り物っぽく感じてしまった。現代の大石さんの家族へのセリフがそれを裏付けてしまった。(戦争を経験していない身がこういうことを言えた立場ではないが、はっきりいって失礼ではないかとまで…)
戦闘シーンもまるでゲームのようだった。CGに頼ってただ戦闘機が打ち落とされる様子が映し出され、兵士が描かれるのが少ない。緊張感が伝わってこない。
ただ作りは本気だとおもう。音楽も撮影も一級品だった。(だから最後まで見れた)特攻の時の岡田准一の憔悴しきった表情を見たときは“うわ…”と一瞬宮部という人物を見た気になった。それほど素晴らしい演技だった。染谷将太は安定。ラストはかなりよかったが、役者が綺麗な格好でカメラ目線はあんまり…

かなりヒットした作品だったから相当期待したのだが。とはいえ、戦争を知ることの大切さ、生きて帰ると考えることが許されない歪んだ歴史を見ることができた。そしてあれだけもう二度とみたくないと思った“ハクソーリッジ”をなぜかもう一度観たくなった。あの目も当てられない恐ろしさをなぜかもう一度体験してみたくなった。
MARUKO

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