ヨシイコウタ

わたしはロランスのヨシイコウタのレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
4.1
「トム・アット・ザ・ファーム」「マイ・マザー」に続いて、グザヴィエ・ドラン監督作品3作目です。3時間弱の大作ということもあり、かなり見応えがありました。
その若さでどうしてこんな作品を作り上げられるのか、ただただ舌を巻くばかりです。
今作においても、ドラン監督の色が全面に押し出されているように感じました。鮮やかな映像美に加えて、何かの印のように挿入される音楽、登場人物たちの心理描写など、引き込まれずにはいられない世界観でした。何かの象徴のような記憶に焼きつくシーンもいくつかあり、その意味を全て捉えることはできずとも、その表現には息を呑みました。

レストランでのフレッドの激昂には完全に圧倒されてしまいました。額に筋を浮かべて、底なしに無神経な店員を怒鳴りつけるそのセリフに、ほんとうにたくさんの気持ちが詰まっているような気がして、目を離すことができませんでした。自分の言っていることの無神経さに気づくこともなく何一つ考えずにベラベラしゃべる店員がいかに愚かな行為をはたらいているか、いやというほど伝わってきたのもとても良かったです。

あらゆる人々へ、生きることへの賛美を伝えているように感じました。