とびん

ウォッチメンのとびんのネタバレレビュー・内容・結末

ウォッチメン(2009年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ヒーローが世界を救っていた時代は過ぎ去り、彼らを自警団と揶揄される時代になった。ソ連とアメリカの第三次世界大戦が勃発しそうな近況間の中、彼らが、煩悶とし、自分なりに正義を貫き通そうした結果、決して少ないとは言えない被害と引き換えに、平和を勝ち得る話。

王道なヒーローものはマーベルに任せて、DCにはこういったヒーローの影の部分を存分に描いてもらいたい。
バットマンの『ダークナイト』然り、本作然り。
ヒーローって、英雄的側面にスポットを当てられがちだが、膨大な力を得た人間を全員が称えるわけではない。
羨望し、嫉妬し、畏怖し、制御しようとするものが出てくるのは自明の理である。
その部分が描かれるだけで、ヒーローの存在によりリアリティーが増す。
また、この映画は群像劇のような形になっており、明確な主人公は存在しない。
ウォッチメンの仲間、全員が主人公である。
私は、ロールシャッハが一番好きだけど。
イカれてるかもしれないが、自分の信念を貫き、自分なりの正義を持っているところに好感を持った。
また、映画などでは安易に奇跡の場面を誇張して表現しがちだが、今作ではその『奇跡』をあくまで論理的に描いていた。
全てのことに関して、論理的な作品だった。
あそこで、起爆スイッチはもう押してあるというね……。
王道のヒーロー映画だと、起爆を阻止して終了なのだが、たしかに現実的ン考えたときに、本当に野望を叶えたいなら、最初からスイッチって押してるよな。そのシニカルなところもよかった。
少数の犠牲で平和をもたらすことを天秤にかけるテーマの作品は多いが、実際に少数の犠牲を図りにかける作品ってあんまりない。というか、僕が知る限り、この作品が初めてだな。
自分はダークな作品が好きなので、この作品が好きだった。
ただ、アクション映画を期待しているならこの作品は見るべきではない。
アクションシーンはあるんだけど、本作はアクションよりも心理描写に重きを置いているため、期待に合わないと退屈すると思う。
ロールシャッハが刑務所のトイレで、男を殺すときのドアの演出がおしゃれだった。あと、ロールシャッハが死ぬシーンも、本当に死ぬのかという喪失感もよかったです。
あと、鉄格子と一緒に囚人の手を切るシーンは、かなりグロテスク。
これ見たとき卒倒した人いるんじゃないか?
とびん

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