乙郎さん

たまものの乙郎さんのネタバレレビュー・内容・結末

たまもの(2004年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

『たまもの』('04/いまおかしんじ)も観た。とてもよかった。けどうまく抱いた感想を言語化できない。まだいまおか作品はそんなに数は観てないけれども、独特のキューっと胸を締め付けられるような観後感は共通している。
まず、ひょっとするとこの映画の元ネタって、キム・ギドク監督の『悪い男』かもしれないと思った。この映画の翌年にお亡くなりになった林由美香さんが主演しているのだが、喘ぎ声以外しゃべらない彼女の設定は通じるものがある。
で、その林由美香さんは声を出さない代わりにほぼ身振り手振りで表現するけど、その様がたまらなくキュート。撮影時に30超えていたと思えないくらいに。逆に言えば、その様子は一種の幼児性を連想させ、背徳感すら覚える。
コメディ的な要素もあるけど、着地は意外と凄惨なところに落ち着くのも特徴かもしれない。尽くして尽くして、それが叶わなくて、けれども表現することが出来ない彼女にはそこしか行きつくところがなかった、という悲しみを称えた一種の解放感。
乙郎さん

乙郎さん