回想シーンでご飯3杯いける

危険なプロットの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

危険なプロット(2012年製作の映画)
3.4
国語(フランス語)教師が生徒に出した宿題「週末の出来事をテーマにした作文」。大半の生徒が退屈な内容だった中で、巧みな文章表現とエロティックなムードを兼ね備えた作文を提出してきた美少年がいた。同級生の母親との危ない関係を示唆するその内容に興味を抱いた教師は、少年に対する個人コーチを始め、続編を書かせるようになるが、その内容は次第に過激になり、教師もまたその世界の虜になっていく。

映画世界の中に、作文を通じたもうひとつの世界がある。そのある種のメタ構造はウディ・アレン的だ。国語教師を演じる俳優はどこかアレンに似ているし、奥さんを演じる女優は彼の元恋人ダイアン・キートンに似ている。監督のフランソワ・オゾンもやはりアレン作品を意識していたそうで、仕上がった作品のコピーをアレン本人にプレゼントしたそうだ。

実際に過激な性描写があるわけでもないのに、メタ構造と想像力を喚起する脚本が功を奏し、ぐいぐい引き込まれる。国語教師は監督自らの映画作りに対する姿勢を投影させた物なのかもしれないし、僕達映画マニアの飽くなき欲求に対する皮肉であるのかもしれない。