エイデン

不安の種のエイデンのレビュー・感想・評価

不安の種(2013年製作の映画)
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地方に存在する“富沼市”に両親と兄妹の鹿野一家が引っ越してきていた
一家は楽しげに引っ越し先の家に着くと、荷ほどきを始めるが、その夜 兄は2階に行く階段で人間の眼球が転がっているのを発見する
しかも目が合った瞬間、眼球は動物のように動いて逃げ去り、どこかへと消えてしまうのだった
一方、バイク便の仕事をしている乾は、配達住所を探して公園の辺りを歩いていたところ、突然後ろから声をかけられる
そこにいたのは誠二と名乗る若い男性で、何故か植え込みに身体の右半分をめり込ませていた
何が起きたのか尋ねる乾に、誠二はバイクで走行中に事故を起こし、投げ出されたらこうなっていたと言う
近くには確かにバイクが転がっており、不気味に思っていた乾も安心して誠二に向き直る
彼はいくら引っ張っても痛くて抜けないと言い、乾も力を貸すが枝が絡み合っていて動く気配すら無かった
困った乾は誠二の案で、絡まった枝を掻き分けていくが、そこでふと奇妙なことに気が付く枝を掻き分けた先はすぐ壁になっていたのだ
つまり誠二は、身体が植え込みに嵌ったわけではなく、右半身が壁に勢いよくぶつかり、完全に潰れてしまっていたのだった
それを乾が察した瞬間、誠二の身体は壁から剥がれ、乾に向かって倒れこむ
恐怖におののく乾は、まだ誠二の目が動いているのを見ていた
ようやく自身が死んだことに気が付いた誠二は、何故 自分がこうなったのかを走馬灯のように振り返る
そこには異常な現象が頻発する富沼市の闇があった



中山昌克による同名漫画を映画化したホラー作品

原作は日常の中に不意に現れる不気味な何かという形式で進むオムニバスではあるけど、映画自体は完全な短編集ではなく、同一人物が主人公だったり、時系列を変えていたりして構成されている
そのためか1本の筋道立ててストーリーを整理するのに一捻りいるような感じ

細かく観れば不条理な怪異がそこにいるという不気味さ、まさにタイトル通りの不安の種を撒き散らし、その芽吹きを1つのストーリーともしているので、色んなキモいのが観れてお得感はある
まあ全てが不条理系ではあるので、その意味のわからない恐怖が楽しめる人にとっては良作かもしれない

基本的に原作エピソードのパッチワークであり、人気キャラ?のおちょなんさんはじめ、なかなか脳裏にこびりつく映像も観られるぞ
こびりつくといえば映画にも登場したおちょなんさんを招いた完成披露試写会の記念撮影画像は色々と狂ってて面白いので、気になった人は調べて欲しい

何にせよ理屈をつけて観ようとすると訳がわからなくなるので、腹に沈んでいくようなじっとりした薄気味悪さを楽しもう
しばらくは真後ろとか部屋の隅とかに何かが覗いてる風景しか思い浮かばなくなるアフターサービスまであるタイプの映画なので、気軽に観ましょう
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