ベルベー

ばしゃ馬さんとビッグマウスのベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

夢叶わない凡人たちの物語。

本当に凡人しか出てこない…から、派手な展開は一切なくのっぺりと展開する…のだけど!吉田監督ならではの鋭すぎる描写と展開。アラサー女子を嬲り殺すことに一切の躊躇がないこの人。何もそこまでしなくたっていいじゃないか…しかし、監督なりの優しさなのね、ってなる。
なんてったって麻生久美子!!「美人だけど絶対に付き合いたくない重たい女」演じさせたら右に出るものは皆無の絶対的存在。序盤から、「頑張ってるのに認められないアタシ」感全開、余裕ないはずなのに周りを見下している態度が痛々しく、かつ面白いわけですが…。介護施設、引いては元彼の岡田義徳に対する態度も気を遣っているようで隠せない傲慢さとか、すげえ細かい笑 そして、「私また好きになっちゃうよ?」で止まってしまう岡田義徳の場面、爆笑した…爆笑したけど、痛々しいよ、辛いよ!!結婚式の場面とか、死体蹴りだろこんなん…。

対する安田章大も、イライラするビッグマウス、でも実力は確か…なわけでもなく、まーやればそこそこなのね?程度というリアルさ。とにかく何もやらずに口ばっかなんだけど、麻生久美子にマジギレされてからは心入れ替え頑張って、厳しさを思い知るという…意外と素直なキャラを、安田章大が好演。お母さんのエピソードをとっさに繕うあたり、ストーリーテリングの才能はありそうだし。あそこで話を繕っていたことも、後から考えると切ないよね…。出てきたお母さん、いい人そうで良かった笑

そして背水の陣で挑んでもまったく上手くいかず…夢破れて去っていく主人公。でもその顔は晴れ晴れとしていて、アンハッピーなストーリーだけど、なぜだか爽やかな気持ちになる。平凡だからこその痛々しさ、切なさにあふれた秀作。原稿の中の文字を有効活用したオープ二ングも好き。
ベルベー

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