グラビティボルト

彼女はパートタイムトラベラーのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

3.6
す、すげぇ面白い秀作。
冴えない記者三人が変な男の出したタイムトラベル勧誘広告を追ううちに己の人生の痛々しさに向き合う話。
それぞれの人物の絶妙なダメさが、ふとしたやり取りや仕草に表出してしまい、
笑えるんだけど同時に悲しい。
マーク・デュプラス演じる自称時間旅行者が、トマト缶をクルクル回しながら棚に置いていく動きのアホさ加減が堪らない。
あと、ファミレスで発覚する耳の傷ね。
あれは、ヒロインから見たデュプラスなめのショットで口に入れた食べ物を吐き出すガキに視線が向くようにしてるから、彼の傷に気づく流れが自然で好き。
あと、ちょいちょいある砂浜のショットがヴェンダースの映画みたいだった。
特にバンが砂浜に停車するショットは
「アメリカの友人」みたい。

本作の終盤にある、互いに分かり合えないと思っていた人物同士の距離の縮まりを示す、二人の人物を横から捉えたショットの情感が後の超大作、「ジュラシックワールド」のラプトルにクリス・プラットが手をかざしながら歩み寄るショットに繋がる。

あと、ジェイク・ジョンソン演じるろくでなしの先輩記者がある光景を眼にして思わず拳を突き上げるアクションの高揚感が素晴らしい。