雨丘もびり

トランス・ワールドの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

トランス・ワールド(2011年製作の映画)
5.0
ソリッドシチュエーションホラーで始まり人類愛を提唱しておわる超アクロバット。
スリリングなストーリーテリングとまさかのどんでん返しに翻弄される、至高の映画体験。
   
【Following様の鑑賞リストから選んで観てみた】
モノクロオムな森に迷い込み、古い小屋で偶然居合わせた登場人物たち。
日が沈めば気温は氷点下5度、 
食料も水もわずかで、
通信機器も故障して使えず、
助けが来ることも望めない。
力を合わせて脱出しようと、お互いが知っている情報を開示してゆくうちに、
彼らが囚われた奇妙な空間のこと、彼らがある共通の境遇下にあることが見えてきて.....
   
【この素晴らしき異世界】
BTTFみたいなテーマの物語なんだけど、
本作のシリアスさが、人類愛のディテイルをより色濃く深める。

とかく先人たちが残した負の遺産に、恨み辛みを抱きがち。
今の不幸な境遇を、過去の人のせいにしがち。イージーなスタンスだから。
でも、それは自分の首を確実に締めてゆく。
だから、
無意味な恩讐を断ち切り、慈しみを持って過去の人たちに働きかけることで、自分のことも幸せに変化せしめる。
いつだって人生は、自分のちからで "やりなおせる" 。

結末は変えられなくても(黒)。
→ほんのりブラックなテイストも好きw
   
fictionの世界でのみ成立する、美しい希望。
だけど、見た人の心の隅を、ちょっぴり染めて、物語は閉じられる。
またひとつ、世界の見方が変わる映画にあえた。
   
♪What a wonderful Trans-World.