HicK

アメイジング・スパイダーマン2のHicKのレビュー・感想・評価

3.3
《カッコいい要素が光るものの、中身は…》

【作風】
前作に引き続き冒頭の機内のシーンなど所々サスペンスフルなテイストも残してあるものの、ダークな雰囲気は和らいでいた印象。アンドリュー・ガーフィールドの演技も前作から少し変更したようで、今回はより明るい青年になっていてコメディーに映える。

【進化したスパイダー】
スパイダーマン時の独り言など更にコミックに忠実になり、個人的に理想のスパイダーマン像だった。彼の背景が明らかになり、スパイダーマンに成るべくしてなったという新鮮な要素も面白い。

【エンタメ要素爆上がり】
また、雰囲気や音楽、コスチュームやスタイリッシュな戦闘、セット、小道具など映画の「パッケージ力」が前作以上にレベルを上げていると感じた。とてもクール。

音楽はハンス・ジマーに変わりめちゃくちゃカッコよく、重低音とともに大迫力のサウンドに。通常の映画よりもボリュームが大きく設定されているのか、楽曲が主張をしまくる 笑。

【ただ…色々と】*ネタバレあり
劇中、ピーターとグウェンの関係で同じようなシーンを何度もあり、意味のない時間稼ぎを見せられているよう。前回のグウェン同様に今回も「MJのように毎回犠牲になるキャラにはしたくない」という製作陣の意図がひしひしと伝わってきたのだが、ピーターとの進まない関係でストーリー上の存在意義も薄れていたあげく、「私の選択よ!」と意気込んで戦場に乗り出したのに死なせてしまうという脚本は、少しばかりバカにも見えてしまう。グウェンの父の幻影もそんなに効果的ではなかったような。

エレクトロも残念で、「バットマン・フォーエバー」のリドラーのような安っぽさ。ハリーの「スパイダーマンの血が欲しい」も本気か!?と思ってしまった。ただ、彼の演技は好きだった。今作は結構ストーリーが詰め込んであり、ツッコミたくなるような設定や口実、ストーリー上意味の薄いものも多く(特にピーターの両親の真実はもったいない)、色々残念。

それでも、グウェンのラストシーンは頭に焼き付くような痛々しい描写で、浮き足立った物語から一気に引き戻される素晴らしいシーンだった。

【まとめ】
パッケージ力は明らかに上がったのに、中身がもったいない。登場人物の多さや、マスト事項の多さ、映像主体の物語に脚本の組み立てが追いついていない印象が強く残ってしまった。ただ、今作で一通りこのシリーズとしての舞台設定は整ったものの打ち切りになるというのが一番残念な点。スパイダーマンとしては過去1カッコいいアンドリュー・ピーターをもっと見たかった。
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