HicK

サマータイムマシン・ブルースのHicKのレビュー・感想・評価

4.2
《ちっささが最高なタイムトラベル》

【好きな身近さ】
タイムトラベルがテーマながら、いい地味さ。いい親近感、いい小笑い感。なのでずっと地味ぃ〜に好きだった作品。一般的なSF大作での"タイム理論を説明する時に分かりやすく身近なもので例えるセリフ"を、そのまま一本の物語にしたような内容で、受け取りやすいのも魅力的。

未来を変えるとか過去を変えるのでは無く、未来と過去を変えないためのタイムトラベル。クーラーのリモコンを守りに昨日へ行き、過去を変える事の恐ろしさを知った彼らは、昨日を昨日のままに守るべく奮闘。このプラマイゼロを目指す戦いは全体的なコンセプトに合っていて好き。

【ツボ】
"オチ"がいくつか存在し、そのためにフリを散りばめたような作品なので意外と丁寧に伏線回収してた。そして後半のオチにつぐオチは全てが一つに繋がり気持ちいい。特にツボだったのは…、

・カッパ、臭いタオル、タイムマシンが出来た理由。
・リモコン長生きだなー。
・1番頑張ったのはリモコンだと思う 笑。お疲れ様。

【本広監督】
監督特有というか、オタク気質な演出は気になる場面も。ギャグシーンは気持ちの悪い"間"が多用された彼のテイストがちょっとしつこい。舞台となる部室には色んな作品への小ネタ。そのほか、人物や背景、演出など監督の過去作へのリンクが多く、「本広ユニバース化」されている。

【総括】
パラドックスによるリスクは「なんとなくヤバい恐怖」と捉え、大胆に具体性は割愛してるのも逆に好き。未知の恐怖から逃れるため、"正しき日常"に修正しようと奮闘する彼らに焦点が当たり、青春劇として楽しい作品。冒険の発端はリモコン。「なかったことにする」という地味なゴール。ちっささが最高。
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