emily

ラブバトルのemilyのレビュー・感想・評価

ラブバトル(2013年製作の映画)
3.1
 父親の葬儀と遺品整理のために実家に戻ってきたが、家族とはもめており、なんとか祖父が大事にしてたピアノだけ欲しいと言うが、断固として姉には拒否される。実家の隣に住む男とはかつて助けてもらったことがあり顔見知りで、今回も彼に会いに行くと、怒りをぶつけるように”愛の戦い”が始まる。二人は激しく体をぶつけ合う事でやがて解放と快感をかんじるようになる。

 カップルの愛の表現法はさまざまである。ほぼ会話と二人の激しい”愛の戦い”のみで成り立ち、そこから広がる女の孤独や怒りから解放されるように、体をぶつけ合い、細い体は赤く腫れ上がり、痛みを感じながらそれが快感へ流れていく。二人の格闘シーンは非常に緊迫感がある。息遣い、肌が赤くなり、廊下で階段で、屋外では泥まみれになりながらすべてを排除し純粋に”愛”を感じ与えようとしている。ここに描かれているのは不器用でただ愛されたい普遍的な愛の形である。その表現方法が観客のそれと異なるかもしれない。しかしすべての邪念を取り除き、研ぎ澄まされた純粋な愛の形に思える。誰かを愛する事を頭ではなく心と体で表現した極限であろう。
ぶつかりあい痛みを感じ、それでもめげずぶつかっていく。傷ついた分また相手を求め、愛おしく思えるのだ。誰しもが愛の戦士で、誰しもが愛を勝ち取るため、またそれを勝ち取った後は維持するために戦わなくてはいけない。痛い思いなしに得られる物なんて何もない・・
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