裕福なマリアンの結婚パーティー。数々の著名人が集まる煌びやかなパーティーの外では激しい抗議運動が繰り広げられており、その襲撃を受けてしまう。たちまち街はカオスと化し、軍部によりコントロールされていき。
今作はフィクションではあるが、メキシコの現実、腐敗した政府の現状を皮肉に切り取った最後まで全く救いの見えない作品である。
まるでドキュメンタリーのような色合い、暴走の末の人間の醜さを容赦なく突きつけてくる。
当然やり過ぎ感も否めないし、突如なぜそうなる？と疑問に思う点も多くない。
86分、最初から最後まで目を逸さなかった。濃密で目を逸らす隙を与えない。こと細いことはわかりにくいし、ところどころしっかり想像しながら見ないと見失ってしまう。
あっという間に世界がひっかり返り軍事に鎮圧されるが、法に守られ規則を守り成り立つ世の中は、やはり誰もが安心できる世の中でもある。怖いのはその秩序が乱れた時。誰もが好き放題しはじめ、何が正しく間違っているのかわからなくなった時。
どの軍人が正なのか悪なのか、誰が信用できてできないのか、全てが狂気でめまくしく展開する。人間としての情は一切なく、それでいてリアルである。それはまるで、近い未来を指しているかのような。。
衝撃的なんてやすい言葉で片付けてはならないと思う。世の中を変えるため、より良い世の中にするためには、一人ひとりが現実を受け止め、できることをやらなければならない。
