emily

遠いところのemilyのレビュー・感想・評価

遠いところ(2022年製作の映画)
3.6
沖縄、コザ。2歳の息子と夫と暮らすギャバクラに勤める17歳のアオイ。親友の海音とは何でも話す中で、彼女と一緒の時は17歳らしい笑顔を見せる。

ある時、夫が仕事を辞めてしまい、自身もお店へのガサ入れで職を失ってしまい。。

夫、海音、息子、彼女の生活の基盤にはこの3人がおり、周りの大人たちはほとんど助けてくれない。

たった17歳の彼女が息子のため生活のため、精神を擦り削って頑張ってる姿を見て何を感じるだろうか。

彼女のように生活が苦しくなり、誰にも相談できず悲しい選択をする人もいるという現実。そこには何の救いもないし、私たちが何かできるわけでもない。

でも無知ではいられない。現実を知り一緒に考えること、自分に何ができるか考えることが大事だ。大人のほんの少しの手助けで彼女は歩いて行けるはずだ。

彼女の生きる理由である息子、
貧困ではあるが、大事なものは備わっていた。なぜ?こうしないのか?なぜ?という疑問を問いかけても、それは本人にしかわからないことである。

ラストの解釈はそれぞれに委ねられるが、わたしは思い直すのではないかと、そちらに賭けたい。

リアルな演技と、鋭い目つきの主人公。沖縄弁でボソボソ喋るし、時折無駄なカットも多い。若干長く感じるが、良い意味で見終わった後のぐったり感と余韻が苦しい。

生きるという残酷、手を差し伸べられる大人でありたいし、誰にもがそうであってほしい。
emily

emily