おのちん

水のないプールのおのちんのレビュー・感想・評価

水のないプール(1982年製作の映画)
4.0
クロロホルムだロッケンロール!

にっぽん昆虫記か迷って、こっちを公開当時以来の再見。ほとんど内容忘れてました。

実話からのインスパイアというもののストーリーの雑な部分が結構あり、ファンタジーの領域だなと思った。夜中にベランダからズカズカと部屋に入って行って、「姉ちゃん戸締りしとかないと危ないよ」とか、相手のMIEちゃんもまったく驚かず、「あ、おじさん」とか。

水のないプール=巨大な欲求不満の象徴かなと解釈しましたが、それを表すかのように終盤どんどん歯止めが効かなくなって欲望がエスカレート&爆発して、ポラロイド撮ったり、眠らせたまま若い女の子3人を全裸で食卓を囲ませて晩餐会とか、とてもシュールだった。

ふだん溜まりすぎてる人が何かちょっとしたきっかけで、どうしようもなく暴走していくっていうのは、いつの時代にも通じますね。

終盤はカッコーの巣の上にになるのかな思ったら、やっぱりそうだった。レイプは犯罪なのでもちろんダメですが映画の終わり方として、あのラストは若松監督の反骨精神というか、こういう終わり方の映画もあっていいかなと思ったり。
犯罪者に都合のいい身勝手な願望や妄想をかたちにしたお花畑エンディングと言われればそれまでですが。

ある意味、ウィリアムワイラー監督「コレクター」ばりのエンディング。え、そんな終わり方で世間は許さないだろうっていう。

2023.9.16
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