HidekiIshimoto

愛の亡霊のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

愛の亡霊(1978年製作の映画)
5.0
大島渚最終作の『御法度』観直したら、独特な結晶具合がキューブリックの最終作『アイズ・ワイド・シャット』を思い出させた。これも観直せば大島版『シャイニング』って感じ。で大島渚は日本のキューブリックだったと言ってみたいけど、んなわけない。ないけど今の俺的にはめっちゃ同等感。ジャンル横断しつつ芯は同じの巨匠印。同じドロドロ犯罪映画でもこの前観た『さがす』にはない純粋愛欲のドロドロ。どうやらドロドロもコンテンツ化した模様。前作『愛のコリーダ』の仏題名が「官能の帝国」でこっちが「情熱の帝国」だと。元ネタはロラン・バルトの『表徴の帝国』なんだと。むずくて途中で投げ出したやつ。再挑戦するべ。「やんなすって」「いかっぺ?」の東北弁にも漂う映画的気品。粗野な藤竜也と年増な吉行和子も壮絶な映画的官能。世界一うまそうに酒を飲む田村高廣。川谷拓三、殿山泰司のボケ絡みも最高。そして異次元にまで気品と官能性を高める武満徹の音楽。武満映画音楽の中でも1,2を争うくらい好き。ひっくるめて大島映画の中でも1,2を争うくらい好き。