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死霊館のblacknessfallのレビュー・感想・評価

死霊館(2013年製作の映画)
3.8
2000年代前半に90年代の停滞を打ち破る勢いで、パンチの効いた作品を撮った才能ある監督がワッと出てきたホラー界隈。
イーライ・ロス、アレクサンドル・アジャ、パスカル・ロジェ、ロブ・ゾンビ等
今も堅調な人もいれば消えた人もいるけど、沈むことなくずぅーーっと絶好調なのはジェームズ・ワンだけなんだよね。

ワンと言えば何と言ってもソウ。これは凄い作品でなんか1つ新しいメソッド作ったし、似たような映画が今だに作られてる。
展開がソリッドでスピーディーでありながらゴア・シーンもきっちり見せる。サスペンスでありミステリーなおもしろさもある傑作。
でも、おれ、この映画認めることできないんだよね。だからワン関係はずっと無視してた。

ソウの何がいやかと言うとジグソウのキャラ。
何であのジジイはあんなに偉そうなのか?単に自分が死ぬのがいやだから、腹立ち紛れに他人の生命を弄んでるくせに、それを正当化するために最もらしい理由付けして、安い講釈をたれる。そこが耐え難くて、、笑
レザーフェイスやジェイソンはそんな小賢しいこと言わないし、自分がやってることがある種の正義だとか思ってないよね。フレディーはちょっとその気あるけど、あくまで犠牲者をいたぶる手段として言ってるだけで、本気で自分に理があるなんて信じてないから笑
理屈をつけないと人を殺れない弱さと、鼻持ちならない選民意識が不愉快なんだよ笑 だから、当然、そんなキャラを生み出した監督のことも嫌いになった。

死霊館も評判良くて、公開時にソウとは違うから見ろとオススメされてたりしたけど頑なに拒んだ。
じゃあ、何で今さら観てんだよって話なんだけど、死霊館のシスターの予告がおもしろそうだったんで、これ観るなら最初のも観とかないとまじぃかなと思って💦
それに悪魔とかゴシックっぽいノリ好きだし、意地を通して無視したい気持ちもあったけど、無理しないでワンと向き合おうかな、と笑

と、まあ、色々うだうだ葛藤しつつ観賞した、死霊館。ソウとは違う正統派の怪奇、オカルトものを現代のホラー感覚でも楽しめるものに構築し直した傑作だと思った。
とにかく張り詰めた緊張感を操るのがうまい。緊張と緩和の入れ方が絶妙。見てて過度に息苦しくなったりすることはないものの、恐怖の空気が薄まったりしない塩梅。このやり過ぎないけど退屈にもならないとこが一部のマニア受けに留まらず一般的な人気を得てきた理由なんだと思った。
特に死霊館は血が激しく飛び散ったり、人体破壊の即物的なショック描写はほとんどない。その代わりアクションや悲鳴なんかをうまく使って痛みや恐怖を想像させる演出を多用してる。これもやっぱり巧みなんでこっちが映ってないことを補完して痛がったり怖がったりすることになる。レイトにかからない究極のショック表現!
この辺の巧みさ、悪魔のいけにえに似てると思った。要するにセンスが半端ないってこと。

ジェームズ・ワン、これから無視せずちゃんとチェックしていきます。
死霊館のシスターも楽しみだな😀
つまらないはずないよね?うん、ソウソウ。
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