OASIS

THE ICEMAN 氷の処刑人のOASISのネタバレレビュー・内容・結末

THE ICEMAN 氷の処刑人(2012年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1960年代から80年代にかけて、およそ29年にも渡り約100人を殺害した殺し屋リチャード・ククリンスキーの恐るべき実話。
主演マイケル・シャノン、ウィノナ・ライダー、レイ・リオッタ、ジェームズ・フランコ、クリス・エヴァンス共演。

誰よりも家族を愛し、表向きは為替トレーダーとして装いながらその裏では冷酷な殺人鬼の面を持つという、リアル「ヒストリー・オブ・バイオレンス」ともいうべき日常。
ポルノビデオのダビング工場の
経営が悪化し一家の暮らしが危ぶまれた時、ギャングから殺しの依頼を持ちかけられ、次々と殺人を犯すようになる。
どうやらククリンスキーは殺しを依頼されるもっと以前から犯罪に手を染めていたらしいので、妻と出会う前の描写が少し欲しかった所。
経歴不明なのも怖さが増すので良いかなとは思うのだけど。

ギャングの頭を演じるレイ・リオッタとマイケル・シャノンは共に眼力が凄く、二人の間に流れる空気は尋常ならざる寒気を感じさせるので、二人が同じ画面に映る時の緊張感が半端ない。
「アイスマン」と呼ばれる理由としてその冷たい眼差し以外に、死体を冷凍して死亡推定時刻を誤魔化していたというのがある。
それに協力していたのがクリス・エヴァンス演じるアイス屋兼殺し屋。
殺し屋がゴロゴロ居るなんてどれだけ恐ろしい街なんだと。

何故29年もの間手がかりが掴めなかったのかというと、一つ一つの殺人を撲殺、銃殺、絞殺など手を変え品を変えて繰り返していたらしい。
決して殺しを楽しんでいるわけではなくて、ただ只管家族の為だけに。
妻からすれば、ちゃんと生活費も入れてくれるし、子供たちの面倒も見てくれるしで疑う理由などなかっただろう。
そんな誰よりも家族を思った彼が、終身刑になるまで一度も家族と会えなかったというのは皮肉な話だった。

凄み溢れる佇まいと、温かい父親との二面性を見せたマイケル・シャノンの演技が光る。
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