雨丘もびり

スティーブン・キング/ランゴリアーズの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

5.0
キングの空想世界にただ付き合うしか無いし、委ねてしまえばすっごく面白い!
ご本人様出演作はアタリが多い。本作も大当たり!

この厚い雲の下は、着陸できる地平なのか....?
10人それぞれの不安と猜疑心が生々しい!
『ミスト』にも通じる、不信感が人間を凶暴化させる描写が序盤から痛キモチぃ。

腕時計や入れ歯、財布、カツラを残して消えた飛行機の乗客たち。
だったら衣服も残ってなきゃおかしいべw。まーいーんだわよそんなこたー。

【過去は滅び去る摂理】
生物や香りや音は現在に"引っ越し"ていて、
過去の世界は"空き家"になっていて、
間もなく崩壊して無に帰す仕組みになっている。

ただ、過去に負わされた傷は、生物が現在に"持ち込んでしまう"という、救いがあるんだか無限地獄なんだかわかんないヒリヒリ感がとても良いわ。

ランゴリアーズは、過去(=現在の老廃物)と、過去に縛られ成長しない怠け者を食べちゃう怪物なのね。
「お前は走ってない、跳ね回っているだけだ。」
ITのペニーワイズっぽいな。プカプカ浮かぶとか言ってたし。

ラストの、全員が走り出して終わる締め方もパーフェクト!
お見事な、楽しい映画体験でした!




【とにもかくにも、トゥーミーさん】
憐れで愚かな小物悪役トゥーミーさん。すぐ泣くw。
クレイグ・トゥーミー
名前がもう苛めたい。ほんとキングの命名センスって神経を逆なでするわ。ミス・カーモディ越え。

「小心者なくせにやたら威張りたがる胸糞悪い俗物」
劇中でけなされる文句がそのまま見事なキャラ紹介文になってるwww

マリリンマンソンに呼ばれて2分でクビになりそうなMぃ風貌もたまらんし、吹替声優の大塚芳忠さんがブラボーすぎる。絶品。Zeppin。
パニクって幼化するオトナは大好物よけけけけ。スゴくイイっ!!
紙ペリペリペリペリーッwあああああXXしたい!即XXしたいっ!!
コイツに私の感情すべてをブツけたい。叩き込みたい。
走れなくなるまで追いまわして、ザツなCGに噛み殺させたい!
ぞくぞくする。恋してるっ!

こんなことオフラインでしゃべれっか!
『ババドック』『アメリカンサイコ』『ファウンド』に続けて、私が沸点極まったときに見直す映画にしよ。
トゥーミー My Love!!

Youtubeで抜き出してる人いたwww
「<悪役集>クレイグ・トゥーミー」
https://www.youtube.com/watch?v=qCP_8_0KYP4


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追記。原作読んだら、序文にランゴリアーズのテーマがまんま書いてあった。

時間、人間の心に腐食作用を及ぼしていくもの。
過去が現在に投ずる影---そのなかに不快なものがあるときは、成長していき、さらに不快なものがそれに隠れ...ますます太っていく。
わたしはいまでも、人間の心の弾力性、人間の愛というものの根元的な妥当性を信じている。
わたしたちの内に宿る魂は、ときおり触れ合うことがあると信じている。
魂の結びつきが支払う対価は高価だが、それでも受け取ったものは、はるかに価値があるものだ、とわたしはいまでも信じている。
善なるものの具現も信じているし、命を懸けて闘う場所を見つけられると信じている。


原作はほぼ映画のまま。どちらもとっても面白い。
原作には、なんで登場させたのかわからない、飛行機の中でえんえん寝てるだけのヒゲのおじさんっていうキャラが居て、まじナゾでした(^^;)