ドント

恋人たちは濡れたのドントのレビュー・感想・評価

恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)
4.3
73年。なんかこう、なんかとにかく、破格の作品を観たとしか書きようがない。
海沿いのひなびた町、ふらりと現れた、「5年ぶりに帰ってきたな!」としつこく言われるふらふらした青年(本人は否定)と、エロ映画館の奥様、青年と同年代のカップルらの織り成す……とあらすじを書いても何の意味もない。
貧乏臭くてろくでもなくて、筋もろくになくワヤクチャで、肉欲ときまぐれと唐突さに満ちているのにどうしてこうも心のヒダをなぞって胸を突いてくるのか。若さと猥雑さに満ち溢れた、映像による一冊の詩集のような、何処にも属さない映画。これもまた映画だ。幸福にもさらに映画というものがわからなくなった。
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