こたつむり

ランボー3/怒りのアフガンのこたつむりのレビュー・感想・評価

2.9
ベトナムの悪夢から解放された作品。

本作の公開は1988年。
ソ連がアフガンから完全撤退する約1年前。
そして、冷戦が終結に向かう間際。

だから…なのか。
本作からは“アメリカの余裕”が見て取れました。“アメリカ→ベトナムでの苦労”と、“ソ連→アフガンでの苦労”を対比する台詞まであるほどです。なんだか“悪戯が見つかった子供”が仲間を見つけたような…そんな意識が見え隠れしました。

ただ、それが子供の悪戯と違うのは。
大国の思惑で“命を奪われる民衆”が居るということ。特にアフガンの場合、その後に歩んだ道のりを考えると、なかなか複雑な思いに囚われますよね。大国の都合で動いたら…強大な敵を育ててしまった、という事実。連鎖する暴力。それを止めることが出来ない無力な実状。

ただ、それは現代の視点だから言える話。
当時のアメリカは“ベトナムへの屈折した思い”から解き放たれる必要があったのでしょう。本作はアクション映画として明瞭。針が振り切れたかのように前向きで明るい筆致。ランボーまで穏やかな顔つきのように思えます。うん。アメリカ人にとって“ベトナム”の持つ意味は、日本人である僕が想像する以上なのでしょうね。

まあ、そんなわけで。
前作と同じアクション超大作…ですが、重しが無いからアッパーな作品です。何も考えずに臨めば、80年代末期のアクション映画として楽しめると思います。僕個人的な嗜好としても、二作目よりは本作の雰囲気の方が好きです。…が、やはり根底に流れる“大国主義”を考えてしまうと…うーん。複雑な気分ですな。

ちなみに。
本シリーズに抱いていた先入観。
ランボーが地雷原を突破し、鉄条網を破り、サーチライトから身を隠しながら、独りで戦場を駆け抜ける…そんなゲームのような雰囲気は、本作が全て体現しておりました。

To be continued…→→→『ランボー/最後の戦場』
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